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家計も仕事も絶体絶命
実は不幸な“年収1000万円”

週刊ダイヤモンド編集部
【14/5/3号】 2014年4月28日
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いつかは突破したい大台であり、ステータスも高い年収1000万円。しかし、達成した後に広がる世界は、バラ色ではなかった。一度はまると抜け出せない見栄消費のアリ地獄に、際限のない教育費、そして職場では首切りに怯えながら働く……。さらに近年、国は税金や社会保障の負担対象を、年収1000万円に定めだした。不幸な年収1000万円の実像と本音に迫った。

 世のサラリーマンたちが、幾多の苦難を乗り越え、出世の階段を上った末にたどり着く年収1000万円のステージ。しかし、このステージに着いた途端に、冷徹なスナイパーが、彼らの財布に「待ってました」とばかり狙いを定め射撃を開始する──。

 こんな状況が現実のものとなりつつある。

 その“スナイパー”とは、国の税務当局だ。年収が上がれば上がるほど、税金などの負担も増えることは誰もが認識しているが、その負担増の「境界線」が近年、静かに、「年収1000万円」に設定されたということを知る人は意外と多くはない。

 左図を見てほしい。年収が100万円増えたとき、どれだけ税金などが天引きされるかの割合(広義の限界税率)を大和総研金融調査部の是枝俊悟研究員が試算したものだ。

 これによると、年収が700万円を超えた辺りから税率が高まり、900万円から1000万円に上がるときには税率が50%超になる(片働き4人世帯の場合)。つまり給料が額面で年間100万円増えても、手取りで増えるのは48万円にすぎないことになる。

 国にとっても、年収1000万円は、「裕福さを感じているため、税金を徴収しても文句を言わなそうな層」として、格好の標的と見ていたとしてもおかしくないのだ。

 国による“1000万円狙い撃ち”の流れはここ2、3年で一気に加速している。消費税のように分かりやすい構造にないため、一つ一つの項目は認識できない程度の負担かもしれないが、年収1000万円のサラリーマンが手にする実質可処分所得は、税制改正や手当の見直しにより年々減り続け、2011年からの5年間で60万円減となるという試算もある。

 そしてさらに「2014年度の税制改正大綱では、年収1000万円前後の層に負担増が集中しています」と是枝研究員は指摘する。

 これが、「年収1000万円な人々」が、給料が増えても生活が楽にならないと感じる原因だ。

 「近年はいくら給料が増えても、実際に手にする収入は増えている気がしない」とは、インタビューを通じて何度も聞かれた証言だ。大手保険会社に勤める吉田啓介さん(仮名、49歳)は「手取りの増加を実感できたのは、30代前半の年収700万円になったときぐらいまで。その後は、大して生活レベルを上げていないのに、家計は楽じゃない」と話す。

 そして、彼らの多くに共通するのは、額面で年収1000万円を超えた時期を認識していても、手取り額の推移を明確には語れないことだ。それほど、多くのビジネスパーソンは天引きされる税金に無頓着なのだ。そこがまた、狙われる理由でもある。

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