窓がいっぱい。でも省エネのためには、窓が圧倒的な弱点

 数えてみたら、わが家の窓は50枚以上。動くものが35枚、動かないFIXものが15枚ほどあります。典型は縦110cm×横60cmのやや大型の「縦辷(すべ)り出し」窓です。

壊れてわかった 窓の断熱とメンテの重要性書斎の西面:縦辷り窓2枚と、FIX窓2枚

 窓のうち4枚は天窓で、家中明るくてうれしいのですが、「窓」という住宅設備は、省エネルギー上は最悪なパーツです。

 断熱性能は、一般的に(面積あたりの)熱の通しやすさである「熱貫流率(U)」で表されますが、窓は壁の10倍、熱を通してしまいます。特に1枚ガラスの窓は13倍に達します。

 ・シングルガラス窓(アルミサッシ):U=6.5
 ・ペアガラス窓(アルミサッシ):U=4.5前後
 ・壁:U=0.5

 結果として、夏、家に入り込む熱の7割は窓(とドア)からであり、冬、家から逃げ出す熱の6割は窓(とドア)からなのです。いくら、壁や屋根・床での断熱を頑張っても、窓が今のままでは、ほとんど意味がありません。

 欧米やアジア各国では1970年代以降、窓の断熱性能が強く求められるようになりました。冬、全館暖房をしているので、そのインパクトが大きかったからです。住宅用窓におけるU値の最低基準が決まっており、ドイツでは1.3、イギリスで1.8、フランスでも2.1以上のものは住宅には使えません。韓国でも北部(ソウル)では2.4、中部(プサン)で2.7が最低基準とされています。

 一方、日本には最低基準といった規制はなく、1999年の「次世代省エネ基準」が、「U値2.33以下」を断熱性能「最高レベル」の「★★★★」と定めています。東京・大阪などでの「目安」は「★★」のU=3.49~4.65だとか。

 地震に強い日本の家も、こと窓(の断熱性)に関しては、欧米・アジアに比べて35年遅れの緩さなのです。

吹き抜けの窓にヒビ。低U値ガラスに取り替えてみた

 わが家南面のリビングは1~2階の吹き抜けになっていて、壁には3×3で9枚の縦型窓がズラリと並んでいます。ある日、その上部3枚中2枚にヒビが入っていることがわかりました。

壊れてわかった 窓の断熱とメンテの重要性

 これまでも雨漏りとかいろいろありましたが、築後10年、もうなにが起きても不思議ではありません。一戸建てって大変です。

 新築時の図面を調べてみると、それらFIX窓はTOSTEM(現LIXIL)製で、アルミ枠に「スカイクール TS-20 FL3-A6」(セントラル硝子)というガラスが入ったものでした。遮熱低放射ペアガラスで、U値は2.6! 10年前にしては悪くありません。

 これまで結露もありませんでしたが、折角なので修理にあたっては、現時点の最高性能を狙ってみました。U値が約1.4の「スペーシアSTII」(日本板硝子)です。2枚のガラスの間を真空にして、断熱性を上げています。