「高速道路無料化」「子ども手当て」など、わかり易いインパクトを持つ経済政策を次々に打ち出してきた民主党政権。当初から指摘されていた「財源不足」が大きな障壁となり、各々の政策は着地点を求めて手探りの前進、あるいは後退を続けている。そんななか、「よく知らなかったけど、実際のところ効果はどうなの?」と注目を集め始めたのが、これまで目玉政策の陰に隠れていた「農業者戸別所得補償制度」と「公立高校の授業料無料化」である。これらの政策は、景気に対してプラスに作用するのだろうか? 改めて考察してみよう。(取材・文/友清 哲)
一定の成果を挙げる経済政策だが
財源不足の障壁はやはり大きい
内閣府の景気ウォッチャー調査によれば、1月の街角景気は2ヵ月連続で改善されたという。これはタクシー運転手や小売店への調査に基づく、文字通りの「街角」計測である。まだまだトンネルの出口は見えないものの、一筋の光明ではあるだろう。
とりわけ好調だったのが、自動車や薄型テレビの販売台数。政府による「エコカー減税」「エコポイント制度」といった経済対策が、それなりに奏功した証と言えそうだ。
しかし、一般的な所感として、「新政権発足以降の経済政策が、総じて有効に機能している」という実感は、まだまだ希薄だろう。
鳩山首相、小沢幹事長の与党ツートップが“カネ疑惑”に喘ぐなか、総選挙時に威勢よく掲げられた「国民のためのマニフェスト」は、案の定というべきか、財源不足という障壁を飛び越え切れずにいる。
急速な税収減が背景にあるにせよ、政治のプロであるはずの彼らがなぜこのような事態を予期できなかったのか? 内閣支持率は、ついに40%を切ってしまった(※共同通信調査に基づく)。
いきおい、メディアの論調も、民主党による経済政策の功罪を問うようなものが増えている。効果の見込みが曖昧で環境対策と相反する高速道路無料化や、明確な財源もないまま世論のご機嫌取りの如く満額支給を主張し続ける子ども手当などが槍玉に挙がるのは、仕方のないことだろう。