ジェフリー・ベゾス ジェフリー・ベゾスはアマゾン・ドットコム社の創業者兼CEOで、eコマース革命が生み出した人物として最も有名な存在だ。同社は新たな産業の姿となり、21世紀初頭、世界で最も認知度の高いオンライン・ブランドとなっている。

 1986年にプリンストン大学を卒業後、ベゾスはさまざまな投資会社に勤務、とりわけD・E・ショー・アンド・カンパニーでは、ウォールストリートで最も成功した計量分析に基づくヘッジファンドの立ち上げに貢献した。

 1992年には、同社の副社長にまで出世するが、金融界での経験を投げ捨てて、アメリカの反対側、西海岸での夢を追いかけることにした。

 アマゾンは1995年7月にインターネット上でその業務を開始、マスメディアで騒がれながら、たちまちeコマースやインターネットそしてニューエコノミーの分野における寵児となった。2000年になって、世の風潮がドットコム企業株に背を向け始めたときには、さすがのアマゾンも命脈が尽きたかと思われた。

 ところがベゾスはこの難局を巧みに乗り切り、翌年には再び高収益が約束された世界に向かって突き進んでいった。

生い立ち

 ベゾスは1964年1月12日、ニューメキシコ州アルバカーキに生まれた。本人は本当の父親を知らない。母親が結婚後1年あまりで父親と別れたからだ。当時、母親はわずか17歳だった。4歳のとき母はマイク・ベゾスと再婚した。父のベゾスは、15歳のときにシャツ2枚とズボンだけ、着の身着のままの状態でアメリカにたどり着いたキューバ難民だった。