【第29回】 2010年02月08日
トヨタや日産の敵?日本企業を惑わす
米新興電気自動車メーカーの本当の実力
本連載でもたびたび登場している謎の米国新興企業、フィスカー・オートモーティブ社(カリフォルニア州アーバイン市、連載第20回参照)。
彼らに最近、新たな動きがあった。
それは「電動化車両の命」と言われる、リチウムイオン二次電池の購入先の変更だ。
フィスカー初の量産車となる4ドアクーペモデル「カーマ」には当初、米エナデル社(米インディアナ州インディアナポリス)製品を採用するはずだった。ところが、2010年1月14日、フィスカーはA123システムズから「カーマ」用のリチウムイオン二次電池を購入すると発表した。
![]() |
| 謎多きフィスカー。カーマ(写真手前)と同車コンバーチブルのサンセット(写真奥)は2010年9月に発売開始の予定 |
エナデルもA123システムズも、米DOE(エネルギー省)から米国内での二次電池製造開発における低利融資を受けるなど、オバマ政権が進める「グリーンニューディール政策」の申し子といえる存在だ。エナデルはその設立から事業運営まで日本の伊藤忠商事が主導的立場で関与してきた企業であり、A123システムズはMIT(マサチューセッツ工科大学)の学内ベンチャーとして誕生した企業である。
2009年5月の時点で、エナデルの親会社エナーワンのチャールズ・ガッセンハイマー社長は筆者に対して「フィスカーの将来性を信じている。自社製品の供給で話を進めている」と語っていた。だが、クライスラーによる同年4月の連邦破産法第11条(通称チャプター11、日本の民事再生法に相当)適用申請後、A123システムズがフィスカーへの接触を強化したと考えられる。それは、A123システムズがクライスラーの電気自動車事業計画「ENVI(Environmentalの頭文字) 」におけるリチウムイオン二次電池の主要供給先だったからだ。
このENVIによる大量受注を見込んで、ミシガン州内での大型工場建設を決定し、そこに米政府からの低利融資を受けた。だがフィアットによるクライスラー再建計画のなかで、ENVIはあっさり廃止された(2009年11月の同社中期経営計画にも盛り込まれず)。慌てたA123システムズは、新規納入先探しに躍起になっていたのである。
Special Topics
バックナンバー
- 第35回
- ハイブリット車は主力製品にならない! 車文化を食い潰した日本には真似できない 欧州自動車メーカーの腹のくくり方 (2010年03月17日)
- 第34回
- 現地密着取材!ロスアラモス発「スマートグリッド」革命の胎動~日米巨大プロジェクトの知られざる正体 (2010年03月15日)
- 第33回
- トヨタの電子制御問題に隠れた事実! アメリカ人特有のアクセルの踏み方 (2010年03月09日)
- 第32回
- トヨタ車の品質は本当に下がったのか? バッシングの嵐が覆い隠す問題の核心 (2010年03月03日)
- 第31回
- トヨタ叩きより日本の成長戦略を語ろう! スマートグリッドという金の卵の育て方 (2010年02月25日)
- 第30回
- 自動車業界に広がるトヨタ擁護論! プリウスのリコールは本来不要だった ~不条理なバッシングの餌食になった 企業の悲しい宿命 (2010年02月17日)
Pick Up
新着トピックス
- 目標=1ヵ月でウエスト5cm減 あなたも挑戦!脱メタボへの道
- 1ヵ月弱でウェスト6.5cm減を達成させたのは、意識と行動の変化
- めちゃくちゃわかるよ経済学 シュンペーターの冒険編
- 滞日中のシュンペーターに密着した高田保馬と柴田敬
- デジトレwatch
- カード番号も“使い捨て”の時代に!? 痒いところに手が届く「ワンタイムデビット」
- inside
- 三菱商事の「ポンタ」が誘発するポイントカードの地殻変動
- 金融市場異論百出
- 超インフレ国はジンバブエのみ 世界が学んだ「最低限の規律」
- 株式市場透視眼鏡
- 企業の成長性でPERを修正 「PERグロース」投資の実践法
- 外科医のつぶやき
- 不安な思いから“安全第一”に取り憑かれた医療ではダメ!
- 吉田恒のデータが語る為替の法則
- 鳩山政権の「円高阻止密約」が機能するか 試されている! ダメならドル/円安値更新も
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
- 『社会貢献』を買う人たち
- キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 対等合併の呪
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
- 原英次郎の「強い中堅企業はここが違う!」 トップに聞く逆境の経営道
- 段ボール業界随一の原価計算の鬼! アースダンボールに学ぶネット販売の真髄 ~奥田敏光社長に聞く(下)
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- 【企業特集】ユニー 提携と差別化戦略で狙う “超”地方小売りチェーン

- 「測るための標準」を考える
- 紀元前2500年頃に造られたピラミッドの建築に当たっては、常に同じサイズの石を…

- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
著者プロフィール
- 桃田 健史
(ジャーナリスト)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中
この連載について
「エコカー=日本の独壇場」と思っているとすれば、それは大間違いだ。電気自動車、ハイブリッド車を巡る市場争奪戦はこれからが本番。日本は序盤戦を制したに過ぎない。世界規模の取材でエコカー大戦争の行方を探る。
ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車の共存でビジネスモデルは混沌!トヨタ、ホンダ、日産、三菱など日本メーカーは世界で勝てるのか?年間飛行機移動時間が最も長い日本人自動車ジャーナリストが世界のエコカー事情を徹底取材。市場・インフラ、技術、政策、各社の戦略を詳細かつヴィヴィッドにレポート!
- DOLブックストアで購入
購入金額に関わらず送料無料! - Amazonで購入
アクセスランキング
- 1位
- 「引きこもり」するオトナたち
- 成績優秀なのに仕事ができない “大人の発達障害”急増の真実
- 2位
- はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
- “人生の負け組”が勢ぞろい! 負け組リベンジの名門「奇跡の屋台ラーメン」
- 3位
- 業界別 半年先の景気を読む
- 市場規模はピーク時の6分の1!? バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法
- 4位
- Close-Up Enterprise
- セイコーHD株主代表訴訟へ 不透明経営に批判
- 5位
- エコカー大戦争!
- トヨタの電子制御問題に隠れた事実! アメリカ人特有のアクセルの踏み方
Recommend 話題の記事
- 今週のキーワード 真壁昭夫
- キム・ヨナやサムスンに“脅威論”が噴出 「日本はもう韓国に勝てない」は本当か?
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 県が格安で手に入れた茨城空港 「軍民共有化」というカラクリ
- SPORTS セカンド・オピニオン
- 大リーグ球団にとっての、日本人選手の価値を考える
- 政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
- 参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
- 今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
- あなたは保険会社に騙されている!? 「保険見直し」のバイブルが登場
- はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
- “人生の負け組”が勢ぞろい! 負け組リベンジの名門「奇跡の屋台ラーメン」
- 業界別 半年先の景気を読む
- 市場規模はピーク時の6分の1!? バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法
- 『社会貢献』を買う人たち
- キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル

- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長

- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。





