【第153回】 2009年07月24日
看板ブランドの「アタック」で新製品を投入する花王の総力戦
花王が1987年に発売開始した「アタック」は、洗剤市場で長年のトップブランドだが、今年8月29日に新製品を投入する。「洗浄成分の開発に10年もかかった。関連特許もすべて出願しており、他の追随を許さない」(尾崎元規社長)という自信作だ。
新製品の「アタックNeo」は上左写真のようにコンパクトなのが特徴。従来は1キログラムあったところが、400グラムで同じ回数、洗えるという。しかも、「現在2回行なわれているすすぎが1回ですむのが特徴。6月に企業理念として掲げた“いっしょにエコ”を具現化する第1弾商品」(尾崎社長)。月に900リットル節水できるという。
洗剤には粉末と液体がある。液体市場は全体の4割程度だが、昨年は2ケタ成長を遂げている。ところが、花王は洗剤全体ではシェア4割を誇るものの、液体に限れば2005年以来、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)の「アリエール」の後塵を拝してきた。液体への本格参入によって、花王の屋台骨である粉末洗剤の工場稼働率を低下させるのではないか、という社内の慎重論が足を引っ張ったと目される。それだけに花王の意気込みも強い。「初年度で12%、年間200億円の売り上げを目指す」(尾崎社長)と、液体市場でもトップ奪取を宣言している。
花王が「アタックNeo」を発売すれば、既存の液体洗剤「アタックバイオジェル」と真っ向から競合する恐れがあるが、花王では「当面は併売するが、バイオジェルをフェードアウトさせてもいいと考えている」と幹部は明かす。
発売当初は「アタックNeo」はお試し価格として、店頭価格もやや低めに設定される見通し。目下、川崎工場はフル稼働状態。8月下旬の発売日に、大量陳列作戦を計画中だ。「小型化されたことで、コンビニからの引き合いも増えている」(花王幹部)と販路拡大の機会も狙う。
ただし、小売りの盛り上がりはいま一つ。「87年のアタック発売時のようなブームになるかは微妙」とある小売りチェーンの幹部は話す。消費者にとっては、すすぎを一度にするには洗濯機のモードを変える手間が必要なうえ、消費者にエコ意識が浸透するには時間がかかると見るからだ。
「アタック」は花王最大の看板ブランドだけに、失敗は許されない。小売りサイドの慎重姿勢を跳ね返すべく、総力戦に打って出る構えである。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 大坪稚子)
Special Topics
バックナンバー
新着トピックス
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 市民による市長リコールもまだできない 阿久根市政“大混乱”の責任は誰にある?
- News&Analysis
- 苦境の地方空港に追い討ちも? 火種くすぶる「ハブ空港」議論の真実
- 岸博幸のクリエイティブ国富論
- 日本のためにならない「FREE」礼賛論を疑え!
- 追跡!AtoZ ~いま一番知りたいテーマを追う!超リアルドキュメント
- 大ヒット商品が続々「特許切れ」へ。 2010年以降、もう「新薬」は生まれない!?
- チャンスを逃さない! 今どき「住活」事情 By SUUMO(スーモ)
- エコポイントがなくても人気は絶大? 想像以上に盛り上がる「エコ住宅」ブーム
- 働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
- 手足のひび割れと関節痛が同時に!? 骨の変形をも引き起こす皮膚病の正体
- 献魂逸滴 極上の日本酒を求めて
- 信濃鶴――伊那谷から飛来した「鶴」は高CPで香り高き純米酒
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 金融市場異論百出
- 超インフレ国はジンバブエのみ 世界が学んだ「最低限の規律」
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
- 『社会貢献』を買う人たち
- キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 対等合併の呪
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)

- 岡野工業・岡野代表エッセイ
- “神の手をもつ男”岡野雅行氏が日本の物づくりに「常識を捨て去れ」と喝!

- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
アクセスランキング
- 2位
- 週刊・上杉隆
- 元秘書として鳩山邦夫氏に苦言を呈す 信念の見えない離党に意味はあるのか?
- 3位
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 4位
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 5位
- 評価が上がる!上司を味方にする技術
- 上司に好かれる話の聴き方、嫌われない質問の方法
Recommend 話題の記事
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 田中秀征 政権ウォッチ
- 鳩山首相「発言のブレ」正当化に疑問を呈す
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 山崎元のマルチスコープ
- 官民一体の海外ビジネス受注期待を怪しむ
- ミドルマネジャーのための「不機嫌な職場」改革講座
- この閉塞感はどうにもならないのか? 組織の成果を最大化する人事制度とは
- SPORTS セカンド・オピニオン
- 大リーグ球団にとっての、日本人選手の価値を考える
- 政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
- 参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない

- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長

- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。






