【最終回】 2008年01月16日
「借りた金を返さない」が許されるのが米国流
当法律事務所は、よく日本企業のアメリカ子会社を閉鎖する業務を請け負う。日本の上場企業X社から、経営不振が続くアメリカ子会社Y社の清算について相談を受けたときのこと。巨額の赤字が続き、それ以上赤字を垂れ流すことはできないということで、親会社X社の取締役会において、Y社を清算することを決めたという話だった。
まず清算の進め方について、X社の日本からの出張者と打ち合わせを行った。X社にとって一番の関心事は債務の弁済についてである。債務合計は300万ドル、債権者数は120社。一方、残余資産は40万ドル。債務合計額が、残余資産額を260万ドルも上回っている。
「債務を全部支払うのは当然だ」
「そのためには、親会社から子会社に、足りない分、260万ドルを送金すべきだ」最初は、そんな意見が大勢を占めていた。
しかし当事務所としては、法律アドバイスにオリジナリティがなくてはいけないと考え、X社に次のような提案をすることにした。それは、「親会社からの送金は一切せずに、残存する資産のみを債権者に分ける。当事務所が債権者との全交渉を代行する」というもの。
「そんなことできるの? 親会社は黒字で儲かっているんだよ」「親会社の看板に傷がつかない?」などの否定的な意見が続出した。しかし結局、我々の提案は採用されることになった。
まず手始めに、大口債権者から順に債務の20パーセントの支払いで勘弁してもらいたい旨のレターを送付した。レターには次のようにあった。
「経営不振により資本金を使い果たし、残余資産がありません。会社閉鎖は本当に苦渋の選択でした。本来はほとんど支払えませんが、今回は特別に、親会社X社の誠意により債務額の20パーセントを支払います。もし残債務を免除してくれるのであれば、添付の和解契約書に署名して送り返してください……」
Special Topics
バックナンバー
Pick Up
新着トピックス
- 野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む
- 「円高こそデフレの原因」説の怪しさ ──今こそ必要なデフレの経済学(6)
- 日本を元気にする企業の条件
- ホンダ、ヤマハ発、味の素、住友化学… 日本企業にもあるBOP市場開拓のネタ
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 市民による市長リコールもまだできない 阿久根市政“大混乱”の責任は誰にある?
- News&Analysis
- 苦境の地方空港に追い討ちも? 火種くすぶる「ハブ空港」議論の真実
- 岸博幸のクリエイティブ国富論
- 日本のためにならない「FREE」礼賛論を疑え!
- 追跡!AtoZ ~いま一番知りたいテーマを追う!超リアルドキュメント
- 大ヒット商品が続々「特許切れ」へ。 2010年以降、もう「新薬」は生まれない!?
- チャンスを逃さない! 今どき「住活」事情 By SUUMO(スーモ)
- エコポイントがなくても人気は絶大? 想像以上に盛り上がる「エコ住宅」ブーム
- 働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
- 手足のひび割れと関節痛が同時に!? 骨の変形をも引き起こす皮膚病の正体
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略
- “不況に強い”にも関わらず売上急減!? 医薬品業界を襲う「2010年問題」とIFRS
- 金融市場異論百出
- 超インフレ国はジンバブエのみ 世界が学んだ「最低限の規律」
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- ユニー 前村哲路社長インタビュー 「現場の自由裁量権を広げ 個店経営のウエートを高める」
- 『社会貢献』を買う人たち
- キレイになって、途上国を支援! 女性の飽くなき「美への探求」が生んだ、一石二鳥のビジネスモデル
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 対等合併の呪

- 岡野工業・岡野代表エッセイ
- “神の手をもつ男”岡野雅行氏が日本の物づくりに「常識を捨て去れ」と喝!

- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
著者プロフィール
- 大橋弘昌
(ニューヨーク州弁護士)
米国ニューヨーク州弁護士。日本国外国法事務弁護士。66年生まれ。慶応義塾大学法学部卒業、サザンメソジスト大学法科大学院卒業。西武百貨店商事管理部、山一證券国際企画部を経て、渡米しニューヨーク州弁護士資格を取得。米国の大手法律事務所ヘインズアンドブーン法律事務所にて5年間プラクティス後、2002年に大橋&ホーン法律事務所を設立。
この連載について
日系企業100社が頼りにする在米敏腕弁護士の交渉ノウハウを初公開!交渉下手な日本人は交渉が始まる前から負けている。駆け引きのセオリーを明かす。
ニューヨークで活躍する敏腕日本人弁護士が、ビジネスに即効で使える交渉ノウハウを伝授。「ノーと言うな、イエス・イフと言え」「ボトムラインにはもっと下があると思え」「自分の主張は円換算して伝えよ」など50項目を厳選。どんな相手とも「ウィン・ウィン」の関係を築く駆け引きのセオリーを明かす。1429円(税別)
- DOLブックストアで購入
購入金額に関わらず送料無料! - Amazonで購入
アクセスランキング
- 2位
- 週刊・上杉隆
- 元秘書として鳩山邦夫氏に苦言を呈す 信念の見えない離党に意味はあるのか?
- 3位
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 4位
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 5位
- 評価が上がる!上司を味方にする技術
- 上司に好かれる話の聴き方、嫌われない質問の方法
Recommend 話題の記事
- China Report 中国は今
- 優秀な中国人学生を採用できなくなった日本企業
- 田中秀征 政権ウォッチ
- 鳩山首相「発言のブレ」正当化に疑問を呈す
- News&Analysis
- 日本が望みを託す宇宙開発の切り札! 「宇宙エレベーター」の知られざるシナリオ
- 山崎元のマルチスコープ
- 官民一体の海外ビジネス受注期待を怪しむ
- ミドルマネジャーのための「不機嫌な職場」改革講座
- この閉塞感はどうにもならないのか? 組織の成果を最大化する人事制度とは
- SPORTS セカンド・オピニオン
- 大リーグ球団にとっての、日本人選手の価値を考える
- 政局LIVEアナリティクス 上久保誠人
- 参院選がどう転んでも、 政界の「世代交代」加速は止められない

- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長

- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。




