週刊ダイヤモンド メディア業界の雄、新聞とテレビはこれまで幾度となく不況期を乗り切ってきました。

 「失われた10年」と言われる1990年代から続いた長い不況でも、社が傾き業界再編が囁かれるなどということはありませんでした。むしろ、売上や部数を伸ばすメディアのほうが多かったほどです。

 その理由には、ジャーナリズムやエンターテイメント面で新聞とテレビを凌駕する存在がなかったこともありますが、「最後の護送船団」と揶揄されるほど規制に手厚く守られ、参入障壁が高かったという事情も大きいと言われています。

 金融業界など、他の日本の産業も同じように官庁や政策により護送船団方式で守られてきたわけですが、バブル経済崩壊でその仕組みが解体されました。その結果、多くの企業が競争に晒され、再生し、また自滅してきました。

 同じことが、今まさにメディア業界にも起ころうとしています。今回の特集では、その原因や各社の苦しい内情を紹介しています。

 弊誌では、1年ほど前の2007年9月22日号にて「新聞没落」というタイトルで新聞業界について特集しました。当時、新聞業界関係者に取材すると、関係者は競合各社を勝ち組と負け組に分けていました。ところが、たった1年で、「勝ち組はいなくなった」という評価が業界では一般的な見方となってしまいました。テレビも同様です。