昨年の暮れ、天丼チェーンの「てんや」で食事をした。
メニューを手に取ったところ、メニュー立てにもう1枚、ビニール袋に収められたペーパーがある。見ると「私、てんやの社長です」という文字が目に入ってきた。
「ご来店いただきまして、ありがとうございます」といったよくある挨拶ではない。『社長のペーパーラジオNo.14』と題された社長からのメッセージだった。「てんやの社長はこんなことを考えています。注文の品が届くまで、読んでみてください」というものだ。
ここで取り上げられていたのは、プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)に対する提言だった。どうやら、てんやの社長・佐伯崇司氏は、お客に自分の思いを伝えたいタイプの人で、かつ野球好き。現状のCSに不満があるようだ。
ファンの物議をかもす
現在のプレーオフ制度
プロ野球のプレーオフ制度・CSはファンの物議をかもしている。ペナントレースで2位と3位のチームが戦い【第1ステージ(3戦制)】、勝ったチームが1位のチームと戦う【第2ステージ(4戦制)※1位チームに1勝のアドバンテージあり】。このプレーオフを勝ち抜いたチームが、セ・パ両リーグの王者を決める日本シリーズに進出するというものだ。
昨シーズンはセとパの1位チーム、巨人と西武の日本一決戦に落ち着いたからいいものの、場合によってはセリーグで首位巨人に12ゲームも離された中日に日本シリーズ出場の可能性もあった。
これはどう考えてもおかしいし、1勝のアドバンテージがあるプレーオフもシラけてしまう。熱心なプロ野球ファンとしては納得がいかない制度だし、筆者もCS反対の立場である。
だが、CS反対派はプレーオフなどない元の「両リーグの覇者による日本シリーズ」に戻せと主張するだけで、これといった対案がなかったことも事実だ。
そもそもCSを行なうようになったのは、ペナントレースを盛り上げるためである。もし、独走優勝をするチームが出た場合、ペナントレースがつまらなくなるからだ。