2016年夏季オリンピックの開催地決定が秒読みの段階に入った。
10月2日にデンマーク・コペンハーゲンで行われる国際オリンピック委員会(IOC)の総会で結論が出る。
最後のアピールチャンスが総会の直前に行われる最終プレゼンテーションだ。時間は一都市45分。立候補している東京、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリード4都市の招致関係者が、国家元首や自国が生んだスポーツ界の大物を登場させるなどして得票を求める。
その東京招致関係者のプレゼン用衣装の値段が先週発売された週刊文春によって明かされた。
記事によれば、デザインには招致委員会会長である石原慎太郎都知事お気に入りのデザイナーを起用。スーツの生地は糸から織った特製で日本の伝統と文化を表す「紫木蓮」と「深川鼠」の色合いを生かしたものだそうだ。この上下にネクタイとワイシャツ数枚の一式で30万円だという。これを総会に出席する関係者約50人分オーダー(プレゼンで登壇するのは10人)。合計すると1千500万円である。
アパレルメーカーとの
タイアップという手段もある
最後の勝負どころだ。気合いが入っているのは分かる。セレブなIOC委員の心をつかむには招致関係者が揃いのスーツをパリッと着こなしている必要があるのかもしれない。
だが、オリンピック招致の予算の多くは税金で賄われている。多くの人が苦しい生活を強いられている大不況下の今、30万円のスーツ代は庶民感情を無視しているとしか言いようがない。
揃いのスーツを作るにしてもリーズナブルなもので十分のはずだ。数万円も出せば、上等なものがオーダーで作れる。関係者がプレゼンで現地に滞在するのは数日。限られた日程の中でIOC委員に数万円と30万円の違いが判るわけがない。
アパレルメーカーとタイアップでスーツを作る方法も考えられる。最近ではプロ野球やJリーグのチームが移動の際、選手に揃いのスーツの着用を義務づけるケースが多くなった。このスーツはほとんどがアパレルメーカーとのタイアップだ。チームはリリースやホームページで「移動時は○○社のスーツを着用しています」などと広報する。メーカー側も広告などで提供していることをアピールする。無償提供する代わりにブランドのイメージアップ効果が見込めるのだ。