【第84回】 2009年07月02日
「故人献金」疑惑の鳩山代表が開いた釈明会見をどう評価するか
きのう(6月30日)、筆者は2つの記者会見に出席した。これらの会見に臨んで、筆者は、「説明責任」ということを、改めて考えさせられてしまった。
ともに会見の主催は鳩山由紀夫氏。一つは民主党代表として、もう一つは衆議院議員の立場での会見であった。異例の一日二回の記者会見の理由は、次の新聞記事にある。
〈民主党の鳩山由紀夫代表の政治資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に、すでに亡くなった人が個人献金者として記載されていることが分かった。朝日新聞が03~07年分の報告書を調べたところ、少なくとも5人の故人が延べ10回、120万円分を献金したことになっていた。遺族のうち、1人は「よく分からない」と答えたが、4人は「死亡後に献金した事実はない」としている〉(6月16日/朝日新聞朝刊)
http://www.asahi.com/politics/update/0616/TKY200906150338.html
死者が政治献金をできるはずもない。よって、疑惑が広がるのは当然のことだった。案の定、新聞各紙、週刊誌などが後追い記事を次々と掲載し、麻生自民を追い詰め、政権奪取に燃える鳩山氏は、一転、追及される身になった。
直前まで政治資金の所轄大臣であった弟の鳩山邦夫前総務相は、大阪での講演の中で、次のように語って兄を厳しく追及した。
「兄の鳩山由紀夫は、故人献金をもらったという。故人といっても個人ではなく故人。つまり死んだ人からの献金だったいうわけです。もちろん、名前を使われて怒っている人たちもいる。私は選挙担当の大臣だったので、虚偽記載ならば大変重い罪であることを知っている。それは大犯罪だ。そういう代表を戴いた民主党に、自民党を責める資格があるのか」
こう吼えた鳩山邦夫氏だが、自民党の他の議員は比較的静かな様子である。それもそうだろう。政治資金規正法の問題は深追いすれば必ず自らに降りかかってくる。政治資金でまったく脛に傷のない国会議員のほうがむしろ少数派である。
そもそも政治資金規正法という法律を、完璧に遵守している政治家がどれほどいるというのだろうか。それは本気になってあら探しをし、捨て身で叩けば、大抵の事務所からは埃程度は舞うようなザル法なのである。
所詮、多くの国会議員に性善説でモラルを求めるのに無理があるのだ。古今東西、大多数の政治家は、その程度の遵法精神くらいしか持ち合わせていない。それは現在の永田町にも当てはまる。
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著者プロフィール
- 上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。
この連載について
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