【第102回】 2009年11月19日
事業仕分けへの批判に異議あり!
霞が関牽制の意味は大きい
きのう(11月17日)、行政刷新会議の事業仕分けの前半が終了した。
新聞・テレビ等ではそれ程高い評価を得ていないようだが、全5日間を取材した筆者の率直な感想を述べれば、十分効果的な取り組みだったと思う。大まかに言えば、メディアから仕分け作業への批判は、次の三点に集約される。
(1)仕分け人は、“公開処刑”のごとく問答無用に事業を削っている。
(2)予算規模約95兆円からすれば、1兆3000億円(基金を含む)というわずかな額しか節約できていない。
(3)447事業の選択は財務省主導で行われ、作業自体もその手の平の上で踊らされている。
もっともであるかのようなこの種の批判だが、現場で取材している者からすれば違和感を覚えざるを得ない。
まず、“公開処刑”についてだが、先週の当コラムでも触れた通り、事業仕分けの作業はそれほど単純なものではない。
仕分け自体に絶対的な基準が存在しないのは確かだが、作業工程はルール化され、それに沿って評価が下される。評決は、厳密ではないものの、基本的には多数決によってなされる。少なくとも「問答無用」という言葉は適当ではない。
おそらく“公開処刑”という批判が新聞等で広まったのは、初日の蓮舫議員と神田道子・国立女性教育会館理事長との激しいやり取り等があったからだろう。それが繰り返しテレビメディア等で流され、あたかも作業全体でそうした応酬が繰り返されているかのような印象が広まったのだろう。
だが、会場である国立印刷局市ヶ谷センターに足を運べば一目瞭然だ。地方在住者は、インターネットによる同時中継を視聴してもいいだろう。
連日、朝9時から夜8時まで、同時に3つのワーキンググループで繰り返されている作業では、激しいやり取りなどはむしろ例外的である。ほとんどの仕分け作業が淡々、粛々と進められている。
さらに言えば、「廃止」、「緊縮」、「見送り」といった形で事業を削っているのは事実だが、評決の末、「認定」という結果も当然にあるのだ。
(2)の削減額が少ないという批判も一面的な捉え方だ。
前半戦が終わった段階での削減額は、4700億円、それに基金の返還分を併せれば、1兆円を超えるという結果になっている。後半の4日間で3兆円は厳しいという見方が一般的なのは確かだ。
当初、鳩山首相も示した一般会計の80兆円台までの削減というのは、難しくなっている。
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著者プロフィール
- 上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。
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