マインドフルネスは広く活用されているが、それは決して万能ではない。先行研究で示された成果の中には、信憑性が低いものもある。とはいえ、正しく実践すれば、よい影響をもたらすことも事実である。本記事では、マインドフルネスによってもたらされる、4つの確かなメリットが示される。


 いまこの瞬間に意識を集中させるマインドフルネスには、盛んに褒めそやされているほどの効果があるとは、必ずしもいえない。だが、マインドフルネスをうまく実践すれば、間違いなく役立つことがいくつかある。マインドフルネスが適切なアプローチとなる場合を見極めることで、社内研修プログラムを充実させ、リーダーのパフォーマンスと従業員の福利厚生をともに向上させることができるだろう。

 マインドフルネスの研究を解釈しようとする際、用心しなければならないことがある。マインドフルネスの偉大な効果を主張する研究の多くが、たとえ査読を受けていても、相対的に科学的な綿密さに欠けるのだ。多くの場合、条件のコントロールが適切ではない。あるいは、こんなケースもあった。テスト・グループと条件をそろえたグループがマインドフルネス以外のこと(たとえば運動)をして、適切な比較はできた。しかし、その結果は両グループとも同様の改善率を示していたのである。

 ウィスコンシン大学マディソン校教授で脳神経学者のリチャード・デビッドソンと私は、最も厳密な科学的基準に基づき、マインドフルネスや他の瞑想に関する膨大な公表文献をふるいにかけた。その結果、数千もの文献のうち、医学研究のゴールドスタンダード(最も信頼できる基準、黄金律)に適合した論文は、わずか1%ほどでしかないことが判明した(この詳細はデヴィッドソンと私の最近の共著Altered Traits[未訳]を参照のこと)。

 だが、これらの確かな研究によって、マインドフルネスには真のメリットがあることも明らかになった。すなわち、より強い集中力、ストレス下での平静の維持、記憶力の向上、よいコーポレート・シチズンシップ(企業市民として社会に貢献すること)の4つである。

 以下、それぞれがどのように役立つかを考察しよう。