紙ベースの作業がリモートワークを妨げる
黒﨑代表が指摘する経理部門を中心とした経営上の深刻な課題とは何か。
「現在、多くの企業が筋肉質な経営体質に変えるため、売り上げや利益に直結するコア業務に集中すべきという風潮が高まり、ノンコア業務の負担を軽くする努力をしています。そのノンコア業務の中でも、会社に届いた郵便物を開封したり、スキャンしたり、ファイリングしたり、印鑑を押したりという業務の負担は重く、このような業務からオフィスで働く人たちを解放したいと考えています」(黒﨑代表)
実際の調査でも、紙ベースでの作業は無駄が多いと感じている人が多い。「無駄が多いと感じる経理業務は」という質問への回答1位は、紙のファイリングで39.9%、2位はハンコ押印28.7%だった(図2参照)。経理部門の業務は、いまだに紙がベースとなるケースが多く、紙を扱う作業が経理業務の負担の一因になっている。
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このように、紙ベースの経理業務は無駄が多く、それゆえにリモートワークへの移行もハードルが高い。「請求書などの受領日はリモート業務だと処理が止まってしまったり、月次決算ができなかったりする可能性が出るため、出社を強いられてしまう。そのため、経理担当がリモートで仕事をしていても業務が止まらない仕組みを作ってほしいという声を頂いていました」(黒﨑代表)。そこで生まれたのが、請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」だ。
このサービスでは、紙やPDFなどあらゆる形式で届く請求書をTOKIUMが企業に代わって受け取り、99.9%以上の高精度でクラウド上に自動でデータ化する。経理や営業担当は出社して請求書を受け取ることもなく、ペーパーレス化が実現するので、経理担当者はクラウド上で請求書の仕訳・申請・承認作業を行うことができる。原本はTOKIUMが保管するので、社内に書類置き場を確保する必要もない。
特に、飲食・物販など複数の店舗を展開している企業では、店舗ごとに請求書が届くことも多く、とりまとめに苦労するが、TOKIUMが受け取りや保管の代行をすることで、忙しい店舗の負担を軽減できる。TOKIUMの利用により、請求書支払い処理にかける時間が約5分の1*に削減できるという。
(*削減時間の数値はTOKIUMを利用中の企業の利用状況、従業員構成比を参考に、750人規模企業を想定して算出。)
図3「TOKIUMインボイスについて」
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「今は、リモートワークの普及によりオフィスの面積が縮小傾向にある上、オフィスを“貴重なコミュニケーションの場”として有効活用しようという企業さまが増えていて、オフィスに書類や備品を置くスペースの確保が難しくなっています。しかも、法人の請求書の保存期間は10年(法人税法では7年、欠損金の繰越控除適用は10年)ですが、当社に預けていただければ紛失の心配もなくなります」(黒﨑代表)
2000人のオペレーターによるデータ化で99.9%の精度を実現
経理DXを支援するサービスは数多くある。そうしたサービスと比較した強みは、約2000人の専任のオペレーターによるデータ化と、導入時や運用開始後の手厚いサポートだ。
TOKIUMでは専任のオペレーターが請求書の内容を入力代行しているため、OCR(光学文字認識)のみでデータ化するよりも、高い精度でデータ化をすることが可能だ。またTOKIUMを利用することでインボイス制度に関する課題も解決できる。オペレーターが適格請求書の要件である登録番号をデータ化し、国税庁のサイトとAPI連携することによって、登録事業者かどうかを判別できるからだ。
「登録番号を正確に請求書から抜き出さないと、いくら『インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト』で自動チェックをしても正しい答えが得られず、後工程の作業が無意味になってしまいます」(黒﨑代表)
TOKIUMでは、このようにオペレーターによって高い精度でのデータ化を実現できる上に、料金プランも低く抑えられている。後述するように、自社のサービスは公共インフラだとの自負があるからだ。
さらに、充実した導入サポートも同社の強みだ。経理の知識と豊富な導入経験を持つスタッフが専任で既存の業務フローを踏まえた最適な機能提案や仕訳データのカスタマイズなどのアドバイスを行い、運用開始後もチャットやメールなどでサポート窓口のスタッフが対応する。