インターネット上のビジュアル情報の重要性

サマンサ・ホームステージングが全国の住まい(新築・中古)を購入した人を対象に行ったウェブ調査(23年7月実施)で、興味深い結果が出ている。

それは「物件を決めるまでの内覧数」についてで、「3件以内」が53・3%と最も多かったことだ(グラフ7)。大西氏は「自分が居住する物件を探すのですから、内覧数はもっと多いと想定していましたが、意外と少ないことに驚いた」と言う。

さらに「何を利用して新居(住み替え先)を探したか」の問いには、「ポータルサイト」という回答が6割を超えた(グラフ6)。

大西氏は、「これら2つの結果から導き出されるのは、新居を探している人の多くは、ポータルサイトで物件を絞り込んだ上で、実際の内覧は3件以内で決めているであろうということ。だからこそ、ポータルサイトに掲載される写真や動画などのビジュアル情報の重要度が高い」と言う。

先の全米リアルター協会のアンケートでも、8割近くがホームステージングした写真の重要性を指摘している(グラフ3)し、日本のポータルサイトの掲載写真点数も増えている。

さらに、コロナ禍で外出が制限される中、あらゆる分野、業界でインターネットの利用が進んだことを背景に、世界中でバーチャル・ツアーやバーチャル・ステージングへの注目も集まりつつある。

実際、バーチャル・ツアーに関係する技術進歩は目覚ましい。サマンサ・ホームステージングが提供しているウェブ内覧動画作成サービスの一つ「Matterport 3Dウォークスルー」は、物件内を赤外線センサー搭載の専用カメラで360度撮影し、4K画質対応の精細な3Dモデルに変換。スマートフォンやパソコン、タブレット端末から、実際に訪れているような臨場感で内覧できるクラウドサービスだ。さらに、Matterport対応VRホームステージング「roOomy(ルーミー)」は、Matterportで撮影した実際の空室の3Dデータ上に、CGで制作した家具・小物を配置したもので、正確な寸法を測ることも可能だ。実際の物件に家具を設営するよりもスピーディーに、かつ低価格で長期間にわたり利用することができることから、汎用性も高い。

現在、日本の中古住宅流通の拡大とそのための環境整備には、国も力を入れている。

「新築住宅の価格が上昇する一方で、リノベーションされた良質な中古住宅へのニーズは高まってきています。ホームステージングで〝こんな家に住みたい〟というイメージを喚起できれば、住み替え需要も流動性も高まっていくでしょう。当社が目指しているのは、全国で高品質のサービスを展開すること。ホームステージングが当たり前のものとして普及していくことで、日本の中古住宅市場を活性化できると考えています」(大西氏)

全米リアルター協会/National Association of REALTORS®
不動産仲介人の中で、協会が定める倫理規定に従うことを誓約し、入会を認められた者だけが「リアルター」と称することができる。
 
日米不動産協力機構(JARECO)
国際的な不動産流通政策の研究・情報交換を産学連携で行う組織。全米リアルター協会との相互協力を通じ、世界60カ国の研究機関と連携。
 
日本ホームステージング協会
ホームステージングの普及と人材育成を目的に、2013年設立された一般社団法人。ホームステージング業の他、リフォーム、インテリア、不動産流通・仲介・コンサルティングなどの企業が参画。
 
取材協力
全米リアルター協会日本大使 西川裕子氏、同協会元大使 マーク北林氏
●問い合わせ先
株式会社サマンサ・ホームステージング
〒135-0047
東京都江東区富岡1-12-8アサヒビル2階
TEL:050・1741・6970(代)
URL:https://samantha-hs.com/
データで読み解くホームステージングの有用性 日本の中古住宅市場拡大へ