情報取得と風土醸成が両立するための鍵に
総務省統計局によれば、2022年の介護離職者数は約10万6000人。21年に実施された別の調査(図1)では、「勤務先の両立支援制度の問題や介護休業等を取得しづらい雰囲気」を介護離職の理由に挙げた人が43.4%に上った。
そうした状況を受け、25年4月に施行される改正育児・介護休業法では両立支援の強化を事業主に義務付けた。具体的には、「介護に直面したと申し出た従業員への両立支援制度の個別周知・意向確認」「介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度に関する情報提供」「仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備(研修もしくは相談窓口設置)」の三つだ。
法改正に先立ち、内製で支援の準備を進めている企業や自治体も多いだろう。しかし、「支援に取り組んだものの、従業員からの個別の質問やニーズへの対応が難しい、とお問い合わせを頂くケースも増えています」とベネッセシニアサポート法人事業部の井木みな恵部長は明かす。
次ページでは、ビジネスケアラーが直面する複雑な課題と、それに対して企業が取り組むべき仕事と介護の両立支援について、詳しく解説していく。