「10年以上にわたって使い続けることのできるグローバル長期戦略」を立てるために、より具体的に、30年後を見通したグローバル市場の方向性を探って行こう。大きくは3分野、10の動向が考えられる。ブーズ・アンド・カンパニーが示す2040年までのメガ・トレンド10、連載第3回。

 

 日本企業の立てる中期計画が、ともすれば「身の丈」程度のボトムアップの合算になりがちであり、このままではグローバルな欧米同業他社から周回遅れに引き離されてしまうということは、本連載の第1回で課題提起を行った。また、第2回では新興国市場を含めたグローバルな規模で長期的観点から成長機会を検討することの必要性を指摘した。そのための基礎情報となるのが、今回以降紹介するメガ・トレンドである。

 ブーズ・アンド・カンパニーでは、欧米企業向けのコンサルティングを行うなかで、グローバルな長期的トレンドについての調査を行うことが多い。本連載では、そうした情報を社内でまとめて共有化した資料をもとに、日本向けにアレンジしたものを紹介していく。

3分野、10のメガ・トレンド

 これからのグローバル市場の大きな方向性は、生産消費活動の原動力となるエネルギー、資源と、その使用から生じる気候への影響への対応(「気候、エネルギー、資源」)、人と富の世界における配分のあり方とその移動のあり方(「人口動態と富」)、国際関係や社会のあり方、個人のライフスタイルと価値観、個々人のネットワークのあり方など社会と文化とその構成要素と互いの関係性の変化(「社会と文化」)の3つの分野が互いに影響を与えあって決定される。2040年までの世界の方向性を考えるにあたっては、この3つの分野における10のメガ・トレンドが重要になる(図表1参照)。

 天然資源をめぐる争いは以前から重要な問題ではあったが、地球温暖化問題などにみられるように、今や人類は地球環境から影響を受け、あるいは結果として影響を及ぼす存在から地球環境への影響を管理しようとする段階に至った。また、温暖化対策の切り札になりうると見られていた原子力エネルギーは、2011年の福島第一原発事故の結果、切り札とはなりえないという見方に変わってきた。このように、資源・エネルギー活用においては、限りある資源の争奪戦が陰に陽に激しくなると同時に、資源の持続性の管理および代替資源の開発・実用化が加速していく。こうした「気候、エネルギー、資源」分野の要因に関しては、「環境保護主義」(メガ・トレンド①)と「資源をめぐる戦い」(メガ・トレンド②)の2つがメガ・トレンドとして挙げられる。