青木 徹(あおき・とおる)
学校法人開智学園理事長
1947年東京生まれ。東京学芸大学卒業後、音楽科教員として都内の公立中学校に勤務。96年埼玉第一高等学校(現・開智高等学校/さいたま市岩槻区)の学校法人理事となり、翌97年開智中学校(中高一貫部)開校。開智国際大学学長を兼ね、2022年から埼玉県私立中学高等学校協会会長も務める。
岩槻で試みたこれからの教育
――「開智」の名付けの親は、開智学園の理事でもある大村智先生(ノーベル生理学・医学賞受賞)だったそうですが、どのようなきっかけでお知り合いになられましたか。
青木 当時、埼玉第一高校の経営母体である学校法人東方学園の理事の一人が大村先生でした。開智学園では、高校卒業時に理系の最優秀者に大村賞を授与しています。令和5年度から開智国際大学では、公募型の大村探究賞を創設、副賞として20万円の奨学金が出ます。こちらの第1回受賞者は渋谷教育学園渋谷の女子生徒さんでした。
――そうでしたか。大村先生はその当時、社団法人北里研究所の理事・所長や学校法人女子美術大学理事(後に理事長)を務めるなどお忙しかったのでは。
青木 学校法人北里学園と社団法人北里研究所の経営統合(実現したのは2008年)のこともあったので、この高校は私が任されることになりました。
――理事になった翌年の1997年に開智中学校が開校、98年には学校法人開智学園に改称しています。
青木 当時から探究学習に力を入れようと考えていました。
――小学校ができて、4-4ー4制(プライマリー、セカンダリー、ターシャリー)の12年一貫教育が始まったわけですね。学年の壁をなくす試みとして「異学年齢学級(Team)」(4学年同数の混成クラス)、中3のターシャリーから中高一貫部に合流するなど、かなりユニークな取り組みもなさっている。
青木 小中高の一貫教育が肝心だと思っています。小学校は以前からつくりたかったのですが、なかなか難しかった。文部科学省とも相談していましたが、小泉内閣の規制緩和で、ようやくかないました。あの時は全国各地に私立小学校が一斉にできましたね。
――新しく開校する開智所沢でも国際バカロレア(IB)教育を全面的に取り入れていかれると思いますが。
青木 現状では何もないので、IBを宣伝するわけにはいきません。ですので、グループ校ではこのようにやっていますとご紹介しています。
――グループ校の信頼は大きいですね。入試では、グループ校間の併願もできますし。
青木 たくさんの人に受けてほしいので、受験料2万円で何回受けてもどこを受けてもいいようにしました。これまで、併願すると3万円でやっていましたが、事務が面倒になるので、2万円に統一しました。全体で見れば絶対にペイします。
――最大に受けると回数はどのくらいになりますか。
青木 20回はいけますね(笑)。