聖学院中学校・高等学校
伊藤大輔校長

 聖学院は、同校を熱望し、第1志望で入学してくる生徒の割合が高い学校だ。

「本校の教育理念に共感してくださっているご家庭が多いからだと考えています」と伊藤大輔校長は言う。「生きていると、さまざまなものがまとわりついてきて、本当の自分が見えなくなりがちです。生徒たちには、それらを剥がしながら『自分はこのために生きているのだ』『これが私なのだ』と思えるもの、すなわちOnly Oneを見つけてほしいと思っています。そこから他者を思いやるfor Othersの心を持ってほしい。その糸口を提供するのが聖学院の教育であると考えます」と同校卒業生でもある伊藤校長は静かに語る。

「問い」から始まる
ストーリー性のある学び

 この理念に深く呼応する形で導入されているのが、「ICE(アイス)モデル」と呼ばれる先進的な教育プログラムだ。カナダで開発されたこのプログラムは、Ideas(知識)・Connections(知識の活用)・Extensions(課題解決)という3段階のプロセスを通じて、生徒が知識を単に吸収するにとどまらず、実社会で応用可能な力へと昇華させていく学びの構造を持つ。聖学院では、このICEモデルを全教科に取り入れ、「問い」から始まるストーリー性のある学びを展開している。

「教科書で学ぶ知識はすでに答えが決定し、そこから原則変わることがない、いってみればロックされた情報です。しかし、現実世界は不確定要素に満ち、常に変化し続けている。本校の授業では、ロックされた情報を動かしながら発想を巡らせ、変化に対応する力や柔軟な思考力を身に付けることに主眼を置いているのです」(伊藤校長)

 こうした学びが、実際に生徒たちの力を引き出している。聖学院はさまざまな外部コンテストや探究型の課外活動にも熱心だが、2024年度には、全国1万人以上の高校生が参加した「マイナビキャリア甲子園」において、同校チームが見事優勝した。その他のコンテストなどでも多くの生徒たちが華々しい成果を上げている。

 26年度からは中学入試制度にも変化が加えられる。特待生入試を廃止し、「アドバンスト入試」の定員を拡大する。これは、成績という一側面だけでは測れない生徒の多様な可能性に目を向けるという、同校の教育理念に重きを置いた判断である。

「第1志望で受けてくださる方は複数回受験されることが多いので、2月4日のオンリーワン表現力入試では受験回数に応じた加点制度も採用する予定です」(伊藤校長)。同校を第1志望とする受験生にチャンスが広がる。

 熱望校に入って高いモチベーションを持った生徒たちは、変化の波がやまない時代にあっても、問いを恐れず、自らのOnly Oneと向き合う。その確かな光を内に宿す若者たちを、聖学院は静かに世に送り出していく。

海外研修も活発な同校。ボランティアを主な目的に訪れるタイ研修では親と暮らせない子どもたちと寝食を共にしたりして、人に奉仕することを学ぶ
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聖学院中学校・高等学校
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