
松尾廣茂校長
5年前に旧・村田女子高等学校から改称し、共学化と中学校の再開を実施して誕生した広尾学園小石川。志願者数は一時、都内最多を記録し、現在も高い人気を誇っている。進学実績の向上に伴って受験生の学力層が底上げされ、教育連携校の広尾学園中学校・高等学校と切磋琢磨する関係にある。
「本校が重視するのは、難関大学への進学実績だけでなく、コミュニケーション力や問題解決力など、将来的に社会で必要とされる総合的な人間力です」
そう話すのは、松尾廣茂校長だ。
多様な国々からの帰国生が多い「インターナショナルコース」の存在が大きな特色で、本科コースの2倍、約80人の生徒が在籍している。すでに高い英語力があるAG(アドバンストグループ)と基礎から英語力を伸ばすSG(スタンダードグループ)に分かれ、それぞれの生徒が混在するクラス編成になっている。外国人教員と日本人教員のダブル担任制で、朝夕の連絡事項や道徳などの授業は英語で行われる。SGの生徒も、常に英語の環境の中で過ごす。中3で英検2級の取得は珍しくなく、中には1級を目指す生徒も。「インターナショナルコースでは、自分の意見や研究成果を英語で発表する機会を多く設けています。AGの生徒からSGの生徒に対して、発音指導やプレゼン準備のサポートが行われていることもあり、お互いの学びを高め合う文化が根付いている。日本育ちの生徒のつつましさに、海外経験者の積極性が加わるなど、両者は良い刺激を与え合っています」(松尾校長)。
キャリア教育に注力
新校舎も完成
中学入学時には、新入生が自分の夢を発表する場が設けられている。自分の思いや夢を言葉にすることで、それを共有し応援し合う関係が生まれ、結果、自己表現力とコミュニケーション力の向上にもつながっている。
キャリア教育にも注力しており、年間を通してさまざまな講座が開催されている。例えば「模擬裁判講座」では、現役の弁護士が参加し、生徒たちは有罪・無罪の判断をグループに分かれて議論。物的証拠や動機、証言の信頼性などを分析し、思考力や判断力を鍛えている。東京藝術大学と提携した講座では、漆工芸やアート制作を体験、大手建築会社との連携で「建築講座」を開催し、建物が出来上がるプロセスを学んだ。2024年12月には新校舎が完成した。地下1階から地上4階にわたる施設には、知識の森にふさわしいラーニングコモンズや広々としたカフェテリアなどが配置されている。
「中高生は非常にピュアな時期で、良質な情報や経験を与えれば、素直に吸収する力を持っています。情報が氾濫する現代社会においては、何を選び取り、どう生かすかが問われています。多様性のある環境で育つ意義は非常に大きいと考えています」と、松尾校長は胸を張る。

広尾学園小石川 中学校・高等学校
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