
岩本 正校長
東京都心・新宿区、最寄り駅から徒歩1分の好立地に位置する成城中学校・成城高等学校。そのルーツから硬派なイメージを持たれがちだが「実際はのんびりした生徒が多くて、ほのぼのとした校風です」と話すのは、岩本正校長だ。その言葉通り、校内にはどこかゆったりとした空気が漂う。
中1・2、は基礎学力養成期と位置付け、自学自習の習慣化を図る。朝7時半から開く自習室「自修館」もあり、1時限の前に“朝勉”する生徒も多い。
中3・高1は、進路決定期。OB講演会などのキャリア教育やグローバル研修を通じて、将来に目を向ける。加えて、文部科学省より「DX(デジタルトランスフォーメーション)ハイスクール」に指定された同校では、デジタル機器を活用した教育も進展。中3・高1では、3Dプリンターやレーザーカッターといった先端設備を用いた実習も取り入れる。
続く高2・3は、実力完成期。進路別のクラスに分かれ、大学受験に向けて一層学力を磨く段階に入っていく。
こうした従来のカリキュラムに加えて、異文化の理解や協働の体験を積むことを目的とした新たな試みも始まっている。
「2024年度から、近隣の東京韓国学校との交流が始まり、互いに一日体験入学を行いました。25年2月には、本校の生徒20人が東京韓国学校で授業などを体験しました。さまざまな文化の違いを実感したほか、韓国学校では英語教育を非常に重視しており、母国語である韓国語以外に日本語、英語を流ちょうに話す生徒がほとんどで、生徒たちは大いに刺激を受けたようです」(岩本校長)
伝統の臨海学校では
先輩の背中が、未来をつくる
人間力を磨くという観点から、成城では学校行事を大切にしているが、中でも「臨海学校」は、成城の教育を象徴する行事の一つだ。
中1の夏、海に親しみながら仲間と過ごす3泊4日。その際、高2の精鋭たちが後輩のサポート役として同行する。
「中1は、レベルに応じて海に親しむところから始め、無理のない範囲で挑戦し、楽しむことを目的としています。とはいえ、高校生も合わせると男子ばかり300人以上集まるわけですから、想定外のハプニングが頻発するのは毎年のこと。中1はまだまだ幼く、それに対応する高2は大変ですが、ミーティングを重ねて徐々に対応力を付けていきます。最終日には全員が確かな成長を遂げて帰ってきます」と岩本校長は目を細める。中1にとっては、先輩の姿が憧れとなり、4年後には自分が同じ役割を担うことを自然に意識し、憧れのバトンをつないでいく。
100年続く臨海学校の「憧れの継承」は、成城における人格形成の核を成し、知・仁・勇の精神をもって、揺るぎないリーダーシップを育て上げる。
