千代田中学校・高等学校
木村健太校長

 校名を変えて迎えた初めての中学入試。「受験生や保護者の熱量には驚かされました」と語るのは、千代田中学校・高等学校の木村健太校長だ。これまでの教育の枠に収まらず、本物と共に、本質を捉える新カリキュラムで、人類がいまだ解決していない課題に向き合い、未来をつくる力を身に付けていく。

 その象徴ともいえるのが、中高一貫教育における「研究コース」と「開発コース」の2コース制だ。「研究コース」では、中1から週4時間の研究活動を実施。幹細胞、環境DNA、医療/命、共創AI、コンサルティングなど、多様なラボに分かれ、基礎および応用研究を通じて「0から1」を生み出す力を育む。

 一方、「開発コース」は、すでにあるアイデアや技術を社会に実装し、「1から10」に発展させる力に重きを置く。中1で幅広いリベラルアーツを学びながら、中2・3ではアントレプレナー、映像制作、農業×食などの多彩なプロジェクトを展開。社会課題に対して解決策を模索する実践的なアプローチを行っていく。

 これらの学びを支えるのが、「学ぶように遊び、遊ぶように学ぶ」教科横断型授業と、第一線で活躍する外部講師の存在だ。招聘されるのは、国内外の研究者や企業人、医師といった“本気の大人”たち。彼らは知識や経験を惜しみなく提供しながら、「20年後、30年後の未来をつくる若者たちから自分も学びたい。一緒に未来をつくりたいと考えるフロントランナーばかりです」と、木村校長は語る。

感性と知性が交差する
「没頭」の場をつくる

 2025年3月、芸能事務所ホリプロと連携し、学校空間全体を舞台に変えたイマーシブ演劇『RE:PLAY AFTER SCHOOL』を開催した。生徒たちはエキストラ、カメラ、照明など多様な役割で関わり、他者の感情や視点に寄り添う力を体感的に学んだ。木村校長は「これまでにない試みに参加することで、自己と他者の境界を超える新しい学びが生まれた」と振り返る。千代田が目指す学校の形は、「自分も、他者も幸せになれる“ウェルビーイング”な未来をつくる場所」。そのために、「生徒が自分とは違う他者に成り切り、多様な価値観があることを当事者意識を持ちながら学ぶ機会を提供しました」と語る。

 また、未来を見据えた進路戦略としては、高2から国際バカロレア「IBコース」への進級も可能で、多様な文化の理解と尊重の精神を国際教育プログラムから学ぶこともできる。さらに英ケンブリッジ大学と米スタンフォード大学の短期留学プログラムを準備。それぞれMBAとマインドフルネスを基盤にした特別なカリキュラムで、修了後は認定証を授与される。「ワクワクする未来を次代を担う生徒たちとつくりたい」と語る木村校長の言葉には、理想論を超えた具体性と情熱が宿っている。

理科室で目をキラキラさせながら研究に取り組む生徒たち。本格的な研究を可能にする最先端の設備の導入も進んでいる
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千代田中学校・高等学校
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