
中村雅浩校長
成城学園が、新宿区牛込から現在地に移転して2025年で100年になる。それまで砧(きぬた)村であった地に、同学園を中心とした成城の街が造られ、成城学園前駅が造られた。大正デモクラシーの中で生まれたユニークな学園は、当時としては珍しく、個性尊重の教育を旨としてきた。今でもその伝統は脈々と受け継がれている。
中村雅浩校長は、「中1の海の学校、北アルプス登山を行う中2の山の学校は、自然の中で体を鍛えようという学年全員参加の本校の伝統行事です。中3以降では、生徒が自分の関心や好奇心に従って選べるプログラムを多数用意しています」と言う。
例えば、中3では希望者参加の「オーストラリア短期留学」がある。24年度は111人の参加者があり、現地6校に分かれて、それぞれの学校の特色あるプログラムに参加した。10日間のホームステイを体験し、研修の成果は帰国報告会やホームページなどで発表された。
校内宿泊から欧州旅行まで
選べる課外学習
高校では修学旅行を廃止し、その代わりに国内外の「課外教室」を毎年約20コース用意。高校の3年間、学年を問わず、好きなものに参加できるのだ。「都内の劇場で芝居を観るという生徒もいれば、世界遺産を巡りに欧州へ行く生徒もいます。24年は震災を想定した『学校に泊まろう』企画もありました。インフラが途絶えた場所で湯を沸かすにはどうすればいいのか、床に寝るとはどういうことか、貴重な体験になったようです。校内宿泊から海外旅行まで、これほど多様な企画がそろうのは、成城学園らしさだと思っています」と中村校長は語る。
高2対象の探究学習「ゼミナール」は、生徒個々がテーマを見つけ、掘り下げ、発信する。3月に行われた最終発表では、興味深いテーマへの取り組みが多く見られた。「高2までの間に、いろいろな体験をしてきていることが生きているのだと感じています」(中村校長)。
24年度にスタートした高校の海外研修プログラムには、他校と合同でアジア諸国を訪問するというものも。バリ島でごみ問題を考えたり、インドのデリーで首都ならではの社会問題を考えたりするほか、ベトナムで日本企業の海外拠点を訪問するなど、異文化・多様性への理解を深めていく。多彩な体験プログラムを経て、生徒たちは自分の興味・関心を深め、個性を磨いていく。「体験プログラムから帰ると、生徒たちが明らかに成長しているのが分かります。クラスや学年を超えた友情も生まれます。本校は同じ敷地内に幼稚園から大学院までありますが、中学や高校、大学から入ってきた者も内部進学者も、自然に交ざり合って明るく過ごしています。違った価値観を持った者に対して、『こんな考えがあるんだ』と素直に受け入れられる土壌があるのだと思います」(中村校長)。

成城学園中学校高等学校
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