日本女子大学附属中学校・高等学校
國澤恒久中学校教頭

「自学自動」を建学の精神に掲げる日本女子大学附属中学校・高等学校。自分の言葉で表現する国語教育や、3年間のバイオリンの必修授業、年に40回以上もある理科の実験など、総合的な教育に力を入れる。自治活動を日本で初めて取り入れた学校といわれ、「自ら考え、自ら学び、自ら行う」という教育理念を実現するために、学校生活の運営に生徒が主体的に取り組む。

「私」を見つめ、自分はどんな人間か掘り下げる授業がちりばめられているのが特色だ。例えば、国語は毎時間、2人ずつスピーチをして、年に数回はクラスメイトの前で話す機会がある。

「最初は自分の名前を紹介したり、好きな本について話をしたりします。表現方法が見つからないときは、友達から学びます。話すことはもちろん、聞く姿勢が育つので、相手の話を聞いた上で自分の意見をどうやって語るか、共感を持ちながらスキルアップしていきます」と國澤恒久教頭は語る。

 中3では、年間研究に各自で取り組む。校地の植物を調べて種子の特徴を研究したり、アニメキャラクターの衣装を作ったりと分野は多様だ。創作においては、自分が何を考えてどういう工夫をしたか報告する。また、毎日継続して取り組む分野では、実際に株を買い、株価と社会の出来事との連動を調べた生徒や、自分のトレーニングプランをコツコツと実践して探究した運動部の生徒がいた。

感情を伴う体験を提供
可能性や選択肢を広げる

 卒業生とのつながりが深く、アナウンサーや医師などさまざまな仕事に就いた先輩の話を聞く機会がある。なぜその職業を選んだのか、中・高時代の過ごし方や大学の進路選択で悩んだことなど、卒業生たちの話は生徒たちが歩む先のロールモデルとして身近に感じられることばかりだ。「知識だけではなく、感情を伴う体験をできるだけ多く提供し、それぞれの可能性、選択肢を広げてほしいと思います」(國澤教頭)。

 日本女子大学との連携も進化している。附属生は中学のときから、理学部と文学部のサマースクールに参加できる。例えば、大学の実験施設を使って七宝焼を作る体験では、焼き物の科学的な変化を学ぶ。中3生には大学の授業を体験できる「目白で学ぶ1日」がある。「ゴジラとディズニーランドの歴史社会学」「長崎から鎖国を見直す」など、ユニークな講座から二つ選んで受講できる。今後の新しい取り組みとして、中3生の研究テーマと近い大学の教員とをマッチングしてアドバイスを受けたり、研究室を訪問したりする企画を進めている。

 2025年度から2月1日午後に算数1教科入試を取り入れ、多くの受験生を集めた。「森の中にある自然豊かな環境や、本校の校風をこれまでより広く新たな層にも知っていただくいい契機になりました」と國澤教頭は、手応えを感じている。

日本女子大学の大学院生と実験に取り組む「理学部サマースクール」の様子。「暗号を作ってみよう」「お茶とスパイス」など興味深い講義も
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日本女子大学附属中学校・高等学校
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