多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校
歌田裕也教頭

「自主研鑽(けんさん)」「敬愛奉仕」「健康明朗」を教育理念に掲げる多摩大学附属聖ヶ丘。「日々の授業や学校行事、部活動を通じて、生徒の自主性や相互協力の精神を育んでいます」と語るのは、高校の歌田裕也教頭だ。

 同校は、細やかな指導に定評があるが、2024年度入学の40期生からは、学年担当の教員全員で生徒を担当する「チーム担任制」を導入。5クラスを7人の教員が担当し、朝夕のホームルームなどは持ち回りで行っている。

 中学の大塚聖子教頭は、「担当教員の人数を増やし、より個別対応が可能になったことで、教員と生徒の距離が一層縮まり、『相談できる教員が増えた』と喜ぶ声が保護者から届いています」と語る。

中学・高校の探究学習が
飛躍的な成長を後押し

 探究学習にも注目したい。中学の探究体験「A知探Q(えいちたんきゅう)」では、1年次に年6回にわたり社会科見学を実施。夏休みの4日間は教員や専門家、地域住民、大学生、教授らが体験型の講座を開く「A知探Qの夏」を行う。

 高1・2の生徒は探究ゼミに属し、毎週水曜日の午後は地元多摩市の行政や住民と協働しながら、グループごとに地域課題の解決に取り組む。公共施設の活用や商店街の活性化、イベントの手伝い、介護施設への訪問など、活動は多岐にわたる。

「災害対策ゼミに所属する生徒は地域の防災イベントに参加したり、近隣の小学校からお声掛けいただき、児童に特別授業を行ったりするなど、地域の防災意識向上に貢献しました」(歌田教頭)

 小学校では防災の基礎知識をレクチャーするだけではなく、実際に地面を掘って簡易トイレの設置方法を教えるなど、その内容は本格的だったという。

 高1の最後は学習内容を模造紙1枚にまとめ、多摩センター駅前の遊歩道「パルテノン大通り」に掲示し市民が評価する「街なかプレゼンテスト」を開催。伝わりやすい内容、通行人への声掛けなどに努め、表現力やコミュニケーション力を高める。学年末には各生徒が1年間の取り組み内容や感想などを教員の前で報告する場も設けられている。

 基礎学力対策としては教科を問わず小テストなどの反復学習を徹底。生徒のノート・プリントを教員がチェックして理解度を把握する。「中学では授業後に20分の自習時間を設け、自ら学ぶ習慣を身に付けます」(大塚教頭)。

 夜まで使える「セルフ・スタディ・ルーム」には、現役大学生のチューターが常駐し学習を支援。英検対策をはじめとする勉強法はもちろん、チューターによる大学紹介といった独自の講座も開く。

 中3以降は、習熟度別の講座も用意され、個別に対応した学習が進められている。学校内で完結する教育環境が整えられ、生徒たちは自信を深めて将来を意識しながら挑戦を続けている。

災害対策ゼミの生徒たちは、地域の防災活動に貢献。小学校で簡易トイレの設置方法を指導するなど、実践的な活動を展開している
●問い合わせ先
多摩大学附属聖ヶ丘(ひじりがおか)中学高等学校
〒206-0022 東京都多摩市聖ヶ丘4-1-1
TEL:042-372-9393
URL:https://www.hijirigaoka.ed.jp/