
坂東広明校長
「学びを通して豊かな人間性を育むという教育方針は、長い歴史の中で受け継がれてきたもの。これからも、より豊かな学びの機会を提供すべく、さまざまなプログラムに磨きをかけていきます」
2025年4月、新たに就任した坂東広明校長はこう抱負を語る。獨協中学校・獨協高等学校は、1883年に創設された獨逸学協会学校を前身とし、伝統的にドイツとのつながりが深い。140年以上続いてきたグローバル教育には定評があり、年を重ねるごとに深化している。
23年度にはドイツの「ケーテコルビッツ校」と「エコレア・インターナショナルスクール・シュヴェリーン校」とパートナーシップ協定を締結。ドイツが環境先進国ということもあり、3校は同年、それぞれの学校で環境に関する意識調査を実施。旧西ドイツ、旧東ドイツ、日本の環境意識の違いを分析した。そして24年6月にはエコレアの生徒が来日し、獨協の生徒と互いのSDGsへの取り組みや環境活動を報告し合った。「毎年、環境という一つのテーマを軸に交流するので、年を重ねるごとに互いの学びが深まっているのを実感しています」(坂東校長)。また、11月に来校したケーテコルビッツの生徒とは、直前にハワイでの修学旅行で平和について学んだ高2の生徒が、平和や民主主義について討論した。
充実したグローバル教育は、ドイツ以外との交流にも広がっている。12月には、インドネシアのムハンマディア第一高等学校の生徒たちが来日。交流した在校生からは「ヒジャブの着用やお祈りなど、イスラム教徒ならではの風習を知り、リスペクトすることが大事だと気付いた」といった感想が聞かれた。
獨協医大にはOBも多数
医療体験の機会も充実
獨協医科大学との中高大連携も強化している。24年8月には、高2の希望者が獨協医科大学で医療現場の仕事を体験するセミナーに参加。一日かけて大学病院の各科を回って実習にも取り組み、学長や医師らの前で振り返りの発表も行った。坂東校長は、同大側とは定期的に連携協議会を開催しており、今後セミナー内容もますます充実させていきたいと意気込んでいる。
獨協医科大学には系列校推薦枠があり、25年春には希望者6人全員が進学した。同大には教員も含め獨協中学校・獨協高等学校の卒業生が多く、後輩を気に掛けてくれることも多いという。
「学長からも『獨協生が大学で頑張っているよ』と聞いています。これから進学する生徒にも、バトンをつないでいってほしいですね」(坂東校長)
獨協中学校・獨協高等学校で35年以上教壇に立つ坂東校長は生徒たちについて「穏やかで素直。いろんなことを吸収していく力を持っている」と語る。140年以上の伝統ある教育が深化していく中、生徒たちもさらに伸び伸びと成長していく。
