
加納克也校長
「一人一人の『納得進学』を実現させたいと思っています。本人が願う進路の実現のために最大限サポートするのが私たちの使命です」。2025年4月、新たに就任した加納克也校長は、これまで三輪田学園で長く進路指導を担当してきた経験を踏まえ、そう語る。
一方で、生徒の望む進路が本当に本人のためになるか、慎重に考えるのも教員の役目だという。「ドラマで見た憧れだけで志望することのないように、例えば、命と向き合う医療現場の厳しさを知るための講演を聞く機会も用意しています」(加納校長)。
生徒たちが進路選択に向けて幅広い視野で考えられるよう、高大連携の取り組みも充実させている。隣接する法政大学との関係は特に密で、協定校推薦を利用して同大への進学を希望する高3は、10人の教員によるオムニバス形式の講義を受講する。さまざまな分野の学問に触れることで視野が広がり、近年は隣接する市ケ谷キャンパスだけでなく、経済や福祉、スポーツ系学部などを有する多摩キャンパスへの進学者も出ているという。
他にも、23年には東京女子大学や津田塾大学との高大連携協定も締結。生徒たちは講義の受講やキャンパスの施設利用を通じ、大学進学後の学びをより明確にイメージしている。
英語で社会課題を議論
現代の「徳才兼備」を
グローバル教育にも熱心に取り組む。例えば、全員が英検を受験。中学で準2級、高校で2級以上の取得を目指している。校内にはネイティブ教員と英会話ができる教室「English Lounge」もあり、生きた英語に触れられる。さらに、25年度からは中1~高1を対象に「Miwada Global Competence(ミワダ・グローバル・コンピテンス)プログラム」を開始。自己認識から世界的な課題まで、英語で考え話し合う探究学習に取り組む。「海外大学への進学だけでなく、留学や海外就職など、生徒がいずれ世界で勝負したいと思ったときに、送り出せる力を身に付けさせたいと考えています」(加納校長)。
教育理念の「徳才兼備」が創立当初から受け継がれてきた三輪田学園。加納校長は、生徒たちには学校が長く大切にしてきた「徳」に加え、現代に求められる「才」も身に付けてほしいと願う。「従来型の基礎学力や英語力だけでなく、課題を見つける力や、他者と協力しながらプロジェクトを完遂する力も培ってほしいですね」。
校内には活発な子、物静かな子などさまざまな生徒がいるが、「真面目な話は真面目に聞き、冗談を言えば一緒に笑う。そんな素直さはどの生徒にも共通だと思います」と、30年以上にわたり三輪田学園に勤める加納校長は目を細める。「誠のほかに道なし」の校訓の通り、何事に対しても、誰にでも誠実に向き合う生徒たちは、豊かな人間性と、現代に求められる知性を兼ね備えた女性に育っていく。
