
田島英和入試広報部長
創立以来、武蔵野が掲げてきた校訓「他者理解」。人は、それぞれ異なる思いや価値観を抱いて生きている。それを受け止め理解し、自らの考えを持ち、行動につなげる。そんな理念が込められている。
この精神を色濃く反映しているのが、独自の英語教育プログラムである「LTE(Learning Through English)」だ。中学では週10時間の英語授業のうち6時間をLTEに充て、ネイティブ教員の指導により英語だけでグループ学習や討論、プレゼンテーションを重ね、深くテーマを探究する。
話を聞く、考えを伝えるコミュニケーションの基本をLTEで学んだ生徒たちは、中3のクロス・カルチュラル・プログラムで沖縄に暮らす外国人家庭にホームステイしたり、カナダやセブ島、マルタ島などでの海外研修(希望制)に参加したりして、さらに磨きをかけていく。その一つが高1の2月から3カ月間ニュージーランドに留学するプログラムだ。一般家庭に滞在しながら現地校に通い、異文化に浸りきる生活で自らを鍛える。入試広報部長の田島英和校長補佐は帰国後の生徒の成長について、「文字通りがらりと変わって帰ってきます。1人で異国に飛び込み、もがきながら自信を付け、視野もグローバルに広がります。こうした経験は進路にも大きく影響を与えています」と語る。
「他者理解」は、生徒と教員の普段の関わりにも生きている。その象徴ともいえるのが「セルフチェックノート」だ。日々の学びや出来事を生徒自身が綴(つづ)るノートには、時として言葉にならない心の機微が表れるという。「生徒が人間関係や進路で悩んでいても、言葉で直接相談してくることはまれです。でも、ノートの書きぶりから、変化や葛藤の兆しを察することができます。書くことが対話の糸口になるのです」と、田島校長補佐。
得意を見る独自入試
個性と能力を引き出す
行事への熱量の高さも際立つ。生徒主体で企画・運営する文化祭は、毎年3000人が訪れるほど。運動会も生徒・教員問わず盛り上がる。必死に取り組み、最後は感動して泣く生徒も出るほどで、かけがえのない経験になっている。
多様な生徒とつながるため、公立中高一貫校の志望者を想定した「適性検査型入試」や、頑張った経験や得意な活動を評価する「アクティブ入試」など、新たな入試を近年相次いで導入した。「何かに一生懸命打ち込んだ経験があれば、入学後必ず飛躍的に成長します。そうなるよう私たちも後押ししていきます」(田島校長補佐)。
入学後の学習支援は、常駐のサポーターが手厚く支援する「武蔵野進学情報センター」があり、午後9時まで自習できる環境を整えている。
教員のきめ細やかな伴走と国際的な視野を育む多彩な学びに、創立以来の「他者理解」の精神が今も息づいている。
