
クリスタル・ブルネリ国際副教頭
明治時代の開校当初、英国人教師を招いて国語と日本史以外の全教科をオールイングリッシュで教えていたという東京女学館。進取の気風に富み、英語や異文化理解教育に重点を置く方針は健在だ。2004年には、帰国生や英語への関心が高い一般生などから構成される語学教育に特化したクラス・国際学級(以下、国際)を設立した。
1学年に一般学級が5クラス、国際が1クラスという編成だったが、26年度からは国際が2クラスになる。
「これまでの国際は、基本的に文系科目中心のカリキュラムで、理系の生徒は途中で一般学級に移ったり、自力で勉強したりしていました。25年度からは国際に在籍しながら、理系科目も学べるようにします」と話すのは、クリスタル・ブルネリ国際副教頭。生徒の多様な進路選択をサポートし、「進学先の幅も広げていきたい」と意欲を語る。
「さらに25年3月から『ケンブリッジ国際認定校』になりました。26年度以降、国際では段階的に認定カリキュラムを取り入れ、高校卒業までにケンブリッジ国際Aレベル取得を目指します」(ブルネリ国際副教頭)
Aレベルは英国の高校卒業資格および大学入学資格に相当する国際資格。東京女学館からは例年数人が海外大に進学するが、Aレベルを取得すれば、欧州などの一流大の門戸も開かれる。
「24年春の卒業生に、柳井正財団の海外奨学金を得て難関の米グリネルカレッジに進学した生徒がいますが、彼女のように海外の難関大に進む実力を持った生徒は大勢います。学校としては海外大受験のハードルを少しでも下げて、より多くの生徒に世界へ羽ばたいてもらいたいですね」(ブルネリ国際副教頭)
なお、国際の中学入試は、帰国生向けのほか、一般入試も実施。25年までチャンスは1回だったが、クラスの増設に伴って2回に増え、挑戦しやすくなる。
海外研修や姉妹校との
交流活動も活発に行われる
国際の生徒は進学実績など、さまざまな分野で成果を上げているが、その活躍は一般学級への刺激にもなっている。実際、一般からも海外大進学者が出ているほか、国内の大学でも国際学部を選ぶ生徒が多く、全般に語学や異文化への関心は高い。そこには、同校の充実した海外交流活動も影響している。
「本校では、イングリッシュキャンプや海外研修、オーストラリアへのターム留学など、生徒が海外に目を向ける機会をたくさん用意しています。海外の姉妹校との相互交流も活発で、タイや韓国、チェコなどの訪問団を受け入れ、共に学校生活を送り友好を深めています」(広報室長・坂田充教諭)
異なる背景の生徒同士が交流する中、改めて共通の社会課題を認識するなど学びは多い。生徒たちは、刺激的な日常から国際感覚を育み、グローバルに活躍する力を持った女性に成長していく。
