
横浜創英中学・高等学校
本間朋弘校長
学校を「社会で活躍する準備の場」と位置付けて、2020年度からさまざまな取り組みを進めてきた横浜創英中学・高等学校。本間朋弘校長は「敷かれたレールの上を歩くのは楽かもしれませんが、現代は行き先が見えません。横浜創英では、レールを敷くのも、行き先を決めるのも生徒自身なのです」と改革の狙いを語る。
25年度から中学入試の受験生はそれぞれの関心や進路希望に合わせ、科学的思考で社会に貢献することを目指す「サイエンスコース」と、世界的な視野や未来につながる実践的なスキルを身に付ける「グローバルコース」のいずれかを選択するようになった。どちらのコースでも、基礎研究や実践研究、発表を重視したプログラムを展開し、課題解決力を身に付ける。
また、中学の英語の授業では週2回、クラスや学年の枠を超えて生徒自身が学び方を選ぶのも大きな特徴だ。学び方は「教員が授業をする」というオーソドックスなものから、「対話しながら学ぶ」「ワークや塾の教材を使って一人で学ぶ」「企業のプログラムを受講し、英会話や外部テスト対策をする」というスタイルまでさまざまだ。
本間校長は「学び方を指示して全員に同じことを求める学校から、全員が違うということに価値を見いだす学校に変わらなければいけません。そうなれば、生徒たちも内発的な動機で学んでいくようになります」と、その意義を語る。
学校の枠組みを超え
どんどん社会へ
そして高1の後期から必修科目は最低限とし、自由選択科目を大幅に拡大。27年度からは高2と高3の前期は異学年混合で選択授業を行う。さらに、高3の自由選択の時間は、連携している複数の大学の講義にも参加でき、その大学での履修は高校の単位としても認定される。
「学校の枠組みの中で学びを完結させず、生徒にはどんどん社会に出ていってほしいと思います。中1から探究活動をしているので、自分の考えを発信できる生徒が多く、大学生とも遜色のない議論をします」(本間校長)
生徒の主体性を重視した学校運営は、授業以外でも随所に見られる。「自分の力で学校を変えた経験のない生徒は、社会に出てから社会を変える活力を持たない」(本間校長)との思いから、行事も生徒たち自身が企画・運営する。卒業式は、生徒たちが温かい雰囲気を演出し、「起立、気を付け、礼」の号令もなし。司会も生徒が担当する。
25年度の中学の入学式で本間校長はこう語った。「夢ははるかかなたにあってかなわないかもしれない。しかし、可能性は1センチの背伸びみたいなもの。手を伸ばせば、きっと届く」と。
生徒たちのその背伸びが、やがて世界を少しずつ変えていく。横浜創英は、可能性に限界を設けず、未来を自分たちの手で描ける場を提供していく。
