
横浜女学院中学校 高等学校
鯉渕(こいぶち)健太郎教諭
英語で各教科の内容を学ぶCLILを中3~高2の国際教養クラスで実践している横浜女学院中学校高等学校。例えば中3では、ニュージーランド海外セミナー前の事前・事後学習を英語で実施。環境問題、生物多様性、多文化共生といった、ニュージーランドで課題となっているテーマを英語で議論する。生徒たちは、直面する問題に対して自分たちに何ができるのかを深く考え、クラスメイトと意見を交わしていく。
鯉渕(こいぶち)健太郎教諭は「世界共通の課題だからこそ、英語で学ぶことに意味があります。日本人的な見方だけでなく、多角的な視点を持って考えてほしいと思います」と語る。
CLILの授業がない中1、中2でも、国際教養クラスではホームルームや他教科の授業の一部を英語で行うなど、英語を当たり前に使う環境づくりを実践。例えば家庭科の調理実習では、英語のレシピを見て親子丼を作る。生徒たちは後にニュージーランドで、ホストファミリーに英語で作り方を説明しながら親子丼を振る舞うという。
こうした積み重ねの上に中3からCLILに取り組み始めると、英語のリスニングやレポート作成、スピーチに抵抗がなくなっていく。「人懐っこい生徒が多く、授業にも積極的に参加し、発言しています」(鯉渕教諭)。
米国からブータンまで
多様な課題を知り、考える
海外研修の機会も豊富だ。中3では国際教養クラス、アカデミークラス共に全員がニュージーランドでのセミナーに参加。他にも、高校では希望者向けに米国、台湾、欧州でのセミナーも開催し、短期から長期の留学制度も用意している。2025年度はセミナーの行き先にブータンも加わった。
「台湾ではAIなどのテクノロジー分野を学びます。ブータンは幸福の国といわれてきましたが、グローバル化が進むにつれ相対的な貧困が可視化されてきたという課題があります。さまざまな国・地域を訪れることで多様な価値観や課題に触れることができます」(鯉渕教諭)
海外からの留学生も受け入れている。スウェーデンやニュージーランドからの留学生が共にCLILの授業を受け、米国出身の教員も含め、複数の国の生徒・教員で平和について議論したこともあった。
こうした経験に刺激を受け、海外大学への進学を希望する生徒も。25年春の卒業生は15の海外大学の合格を手にした。
校訓は「愛と誠」。神様に自分たちが愛されているのと同じように、他者も自分も愛することを大切にする。「海外では特に、価値観の異なる人と出会います。そうした相手を尊重し、思いやって行動することを、英語教育や国際教育を通じて学んでほしい」と鯉渕教諭は願う。
学校は横浜・山手の丘の上に立つ。緑豊かで落ち着いた雰囲気の中、生徒たちは自分自身も友人も大切にしながら、成長していく。

横浜女学院中学校 高等学校
〒231-8661 神奈川県横浜市中区山手町203
TEL:045-641-3284
URL:https://www.yjg.y-gakuin.ed.jp/