武南中学校
遠藤修平校長

 武南中学校は1963年創立の武南学園を母体とし、2012年に開校した中高一貫校だ。変化の激しい現代社会において、的確に情報を集め、課題を捉え、解決へ導ける力を育てることを目標としている。

 同校の特色の一つが、豊富なフィールドワークだ。これまでも、理科では長瀞(ながとろ)町での地質調査、社会では鎌倉や国際機関(ユニセフ・JICA)への訪問、美術では国立西洋美術館での名画鑑賞など、教科ごとのフィールドワークを実施してきた。25年度からは、そのフィールドワークの機会を拡充。中学の国語で夏目漱石など文豪の記念館を訪れたり、高校の地歴・公民科で大学や企業の現場を体験したりと、より幅広い教科・学年で、探究的な学びへと発展させる。

「問いを立て、本物に触れて学び、発表することを大切にしています。授業で知識を得るだけでなく、実際に肌で感じることで、さまざまなことに関心を持つ生徒が増えてきました」と、遠藤修平校長は手応えを語る。

 こうした探究的学びの出発点は、中1の1学期に行う埼玉県秩父での合宿だ。生徒たちは「秩父のまちおこし」をテーマに、人口や空き家の数の推移、農業や観光の実態を調べ、「名産のブドウをスイーツにできないか」「祭りで人を呼び込めないか」といったアイデアを出し合い、グループで発表する。最初はぎこちなかった問いの立て方や話し合いの姿勢も次第に身に付き、その後の学びの土台となっていく。

海外と日本を深く知り
真のグローバル人材に

 同校が重視している教育の3本柱は、「グローバル教育」「教養教育」「STEM教育」だ。中2では、アジア研修旅行としてベトナムとカンボジアを訪問。現地の同世代と英語で会話を交わす中で、実践的な国際感覚を育んでいる。高1では米国でのホームステイを経験し、ハーバード大学などの世界トップクラスの大学でワークショップに参加。さらに高2では、京都・奈良研修を実施しており、日本と世界、両方を深く理解するグローバル教育が徹底されている。

 古典芸能の鑑賞機会も多く、歌舞伎・能・狂言・文楽といった伝統文化に親しむことで、日本人としての教養や美意識も磨いている。

 STEM教育では、モーターを自作し、それを活用してプログラミングで動かす車を完成させるなど、教科を横断した実践的な取り組みも進んでいる。

「予測困難な時代において、自ら判断し行動する力が求められています。それに必要な教養、経験、語学力、そして多様性への理解を、本校では育んでいきたい」と遠藤校長。あいさつや返事などの基本的なマナーが自然に身に付いているという武南中学校。教室内外での学びを通じて生徒たちは、社会で活躍するための品格と実力を着実に育んでいる。

中2のアジア研修旅行では、ベトナムとカンボジアを訪問。経済成長著しいアジアの勢いを肌で感じ、刺激を受ける生徒も多い
●問い合わせ先
武南中学校
〒335-0002 埼玉県蕨市塚越5-10-21
TEL:048-441-6948
URL:https://www.bunan.ed.jp/j-highschool/