
渡邉 健教諭
2024年に創立100周年を迎えた文京学院大学女子中学校高等学校。グローバル教育と探究活動に力を入れ、「世界標準の人間力と学力」を持つ女性を育成している。
グローバル教育では、隣接するアオバジャパン・インターナショナルスクールと提携。同校で1日過ごしたり、部活動を合同で行ったりと、まるで「校内留学」のように日頃から異文化体験ができる。他にも、毎週ネイティブ教員によるゼミ形式の「国際塾」や英検対策講座、ネイティブ教員と日本人教員のコラボによる世界史や数学、体育の授業などを通じて、日常的に英語に触れることができる。
探究活動も盛んだ。理数キャリアコースでは、問いの立て方や実験・分析の手法を学んでプレゼン。企業や大学の研究者の指導を受ける機会もある。
こうした学びが実を結び、23年には、江戸時代の口紅の化粧法を科学的に検証し、再現する研究に取り組んだ高校生2人が、国際学生科学技術フェアの材料科学部門で優秀賞を獲得した。
「志の高い生徒が入学してくれていると感じます。本校での活動を通じて、探究する力だけでなく、発信力も身に付くようになりました」(嶋田栄司教諭)
第1志望者が増え
昨年度を上回る人気
同校の魅力が伝わり、近年は受験生や保護者からの人気も高まっている。25年度の中学入試では、昨年度を大きく上回る135人が入学。入学手続きをした合格者は、他校の繰り上げ合格を受けても全員が入学した。辞退者ゼロは初めてだという。
「学校説明会では、入試対策や勉強のコツ、親子でのコミュニケーションについても話しました。受験生や保護者を応援する姿勢が伝わり、一人一人の生徒を大切にする学校の魅力も感じていただけたのではと思っています」と渡邉健教諭は振り返る。
25年4月には、高校に藤井亮太朗教頭が着任した。藤井教頭は、前任校で探究授業のデザインや、教員研修を担当。経済産業省が学校現場のデジタル環境整備を進める「未来の教室」事業の監修経験もあり、各地の学校の先進的な取り組みにも詳しい。
着任直後から早速、教員や生徒とコミュニケーションを重ねている藤井教頭。「特に理科、数学の教員は研究の素地ができている人たちばかりです。何かのテーマに興味を持った生徒がすぐに専門領域に入り込みやすい環境にあります」と、学校の印象を語る。そうした探究の土台を生かして今後、各界の第一線で活躍する社会人を呼んでの対話や、他校の生徒と合同での探究活動も進めていきたいという。「活動を通して、生徒のワクワクする気持ちを刺激し、学ぶことの楽しさをより深く生徒が知ってくれればうれしいです」(藤井教頭)。
心優しく純粋で、何事にも真っすぐ取り組む生徒が多いという同校。次の100年へと向かう新しい風が吹いている。
