
松本琢司校長
豊かな人間性と高い倫理性を持って社会貢献する人材の育成を目指す、東邦大学付属東邦中学校・高等学校。松本琢司校長は「AIが発達し、先行きが不透明な高度情報社会を生きる上で必要な論理的思考力や、問いを立てる力を持った人材を育てていきたいです」と語る。
伝統的に男女とも約7割が理系に進むのが同校の大きな特徴。特に医学部志向は強く、例年80~100人ほどが医学部に合格する。入学当初は医師志望ではなかった生徒が、卒業生による職業講話や医師を目指す仲間などに感化されて、医学部を志すケースも珍しくないという。
2024年夏には、コロナ禍で中断していた東邦大学医療センター佐倉病院での外科手術体験授業「ブラック・ジャックセミナー」を再開。高1の希望者30人ほどが参加し、人体模型に内視鏡のシミュレーターを入れたり、手術用の針を使って動物の肉を縫合したりと、外科医の仕事を体験した。参加した生徒からは「医療の現場をリアルに知って、医師になりたい気持ちが強くなった」「外科に興味を持った」という感想が聞かれたという。
医療以外の分野に触れる機会も豊富だ。東邦大学の付属校としての強みを生かし、大学での学びに触れられる講座を多数開催。同大の教員による講義内容は「河川水格付けチェック」「素粒子で作る宇宙」「薬の一生を描いてみよう!」など、好奇心を刺激するものばかりだ。もちろん、「リーガルマインド入門」などの文系の学問も体験できる。
「自分探しの旅」の6年
幅広い学びが将来の糧に
理系に強みを持つ同校だが、文理共に幅広く学ぶリベラルアーツ教育が伝統的に行われている。「例えば、建築分野に進む生徒は歴史、美術にも詳しい方がいいでしょう。医師には倫理観が必要です。理系に進む生徒も、文系の知識を素養として持っている必要があります」(松本校長)。
24年夏には、卒業生の金井宣茂(のりしげ)宇宙飛行士が来校し、講演。「そのときは、脇道にそれていると思うようなことも、後から自分の糧になったと感じることがあります。目標のために直接役立ちそうなことだけでなく、いろいろなことを経験してください」とのメッセージを伝えてくれたという。「まさに本校が実践している幅広い学びの大切さを、金井さんも語ってくれてうれしく思いました」(松本校長)。
中高の6年間を「自分探しの旅」と位置付ける同校。松本校長は「勉強だけでなく、行事や部活動にも一生懸命に取り組んでほしいですね。非認知能力を高めると、心身共にバランスの取れた人間に育つと思っています」と、生徒たちの成長を見守る。校内は広く緑豊かで、実験設備やグラウンドも充実している。生徒たちは勉強に部活にと、さまざまな経験を積みながら豊かに成長していく。

東邦大学付属東邦中学校・高等学校
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