
瀬尾匡範(まさのり)校長
何のために学ぶのか。足立学園ではそんな根源的な問いを生徒たちに投げ掛け、自ら学ぶ意志を奮い立たせる「志共育(こころざしきょういく)」を大切にしている。
難関大に入ることを学びの目標に据える人もいるが、望み通りの学歴を手に入れたとしても、社会で役立つ人になれるとは限らない。同校は生徒に、「世のため、人のために自分ができることは何か」を考える機会をふんだんに提供。探究活動などを通じて己を知り、社会を知り、自力で自分がなすべき志(夢)にたどり着くためのサポートをする。
「志が強い生徒ほど入試でも良い結果を出していると感じます」
そう話すのは、2025年度から就任した瀬尾匡範(まさのり)・新校長。前校長から受け継いだ志共育を継承していく構えだ。
「志を実現するまでの道のりは決して平たんではなく、度々困難も降り掛かってくるでしょう。それでも生徒たちには失敗を恐れず立ち向かってほしいし、つまずいても諦めずに前を向く心を育てたい。今後は『挑戦』をテーマに、志共育を一層進化させていきます」(瀬尾校長)
20年度から志を自己PRする「志入試」も導入。志共育に共鳴する志願者が増加し、年々倍率は上がっている。
ハードルを乗り越えて
アフリカ研修を実現
志共育と連動するさまざまなプログラムも用意される。その一つが海外研修だ。中高生の海外研修先といえば、英語圏の先進国が中心だが、足立学園ではそれに加えて、アフリカスタディーツアーも実施する。
アフリカを研修先に入れている学校は非常に稀有(けう)だ。青年海外協力隊の経験を持つ同校教員の「アフリカの今を生徒に直接見せたい」という熱い思いに端を発し、同校は幾つもの高いハードルを乗り越えて研修を実現。22年に始まり、すでに累計30人ほどの生徒がアフリカはタンザニアの地を訪れている。
現地では学生と交流したり、農作業を体験したり、かつて奴隷貿易の拠点だった場所を訪れたりと濃密な時間を過ごす。経済成長が進む一方、貧困や環境汚染といった深刻な社会課題を抱えるタンザニアで、生徒たちの柔らかな心は計り知れないほど大きな刺激を受ける。
「例年、親御さんから参加を促され、出発時は及び腰の生徒がいるのですが、どの子も例外なく一回りも二回りも大きくなって帰ってきます。普段はシャイな子、人の後ろから付いていくタイプの子も、現地では片言の英語でも意思疎通を図らなければならないので、モジモジしている暇がない。みんなが自然と協力し合い、同行者同士の絆も生まれます。アフリカ滞在を機に医学や教育、さまざまな社会課題の解決など、進路につながる志を見いだす生徒も多くいます」(瀬尾校長)
得難い体験から育まれた志は、生徒たちの人生の道標となり、生涯の相棒にもなっていく。

足立学園中学校・高等学校
〒120-0026 東京都足立区千住旭町40-24
TEL:03-3888-5331
URL:https://www.adachigakuen-jh.ed.jp/