跡見学園中学校高等学校
松井真佐美校長

「かわいい」「軽くて使いやすい」と新中1に好評なのは、2025年度からリニューアルされたスクールバッグ。松井真佐美校長が途上国で物作りをするブランド「マザーハウス」に、デザインや製造を直接依頼した。

「代表の山口絵理子さんの社会課題を解決したいという志や、世界に飛び出していく行動力などが素晴らしく、本校の生徒たちにも将来そんな女性になってもらいたいと考えたことが、お願いしたきっかけです」(松井校長)

 製作過程では生徒の意見も存分に取り入れられている。中2以上の生徒は後輩が持つバッグをより良いものにしようと、積極的に意見を出した。「そんなところにも、年上が年下の面倒を見る、本校伝統の『あね・いもとの校風』が表れていると感じましたね」と松井校長。

 長きにわたって変わらないのは校風だけではない。「ごきげんよう」のあいさつは健在。芸術科目を重視する独自のカリキュラムも学祖の理念を受け継ぐ。

「礼儀作法とともに学ぶ書道の授業を大切にしていたり、日本画に取り組んだりしている学校は珍しいかもしれません。芸術方面で力を発揮する生徒は多く、25年春の大学入試では東京藝大・油画専攻に現役合格した生徒も。部活動では、器楽部リコーダー班が全国大会で金賞の栄誉に輝きました」(松井校長)

 時代はSTEAM教育全盛で、改めて芸術(A=Art)を学ぶことが注目されている。

「実際、感受性豊かな時期に芸術に触れることで育まれる想像力や表現力には価値があります。また、生徒たちは今後社会人となり、目まぐるしい世界に身を置く中で、芸術は癒やしや支えになってくれるはずです」(松井校長)

 学習面では各教科の授業に探究的な学びを取り入れている点が特徴。例えば、理科は探究の一環で実験を充実させている。

「例年、中1の最初の授業は桜の解剖。身の回りのものをただ眺めるだけでなく、実際に触れ、成り立ちを知ることで物の見方が大きく変わります」(松井校長)

理系大学と高大連携
26年から算数1科入試も

 理科への関心を高める効果も出てきている。近年は理系の大学との提携も増え、大学による出張授業(実験など)への生徒の参加率は高い。

 また、中学入試では26年度募集分から、新たに国語1科入試と算数1科入試が導入される。

「もともと2科入試で国語重視型入試は行ってきましたが、これを国語1科入試に変更し、同時に算数1科入試を設けます。26年度に併設大学で理系学部が開設予定であることに加え、高大連携などで理系分野の学問的関心を深められる環境が整ってきたことから、このタイミングでの導入になりました」(松井校長)

 新たな個性を持つ生徒たちも加わり、次の節目に向けて伝統をつないでいく。

2024年度から高2でセルフプロデュース旅行を実施。前半は事前学習を踏まえて自分たちで「奈良」「大阪」「兵庫」を舞台にプランを考え、後半は全員が京都に集まる
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