神奈川学園中学・高等学校
及川正俊校長

 2025年度の受験者数が前年度比の1.5倍超となり、クラス増設となった神奈川学園。国公立大学はじめ難関大学合格の堅調な進学実績、中学3年間で100以上の実験・観察を行う理数教育で4割近い生徒が理系を選択することに加え、「『自立した女性』を育てる本校の堅実な教育理念が、受験生や保護者のニーズと合致したのではないか」と及川正俊校長は話す。

「自立の力を育むため、生徒一人一人に寄り添いながらも『生徒が学校をつくる』自主性を尊重しているのが本校の特徴です」と及川校長。中学2人担任制を採用して生徒が安心して学べる教育環境を整え、教員は生徒の言葉にできるだけ耳を傾ける。

 伝統的に生徒会や自治活動が盛んな同校では、生徒が学校生活のルールづくりに積極的に参加している。例えば、昼食時以外の軽食時間の導入やアイス自販機の設置、紺色靴下の導入なども生徒の発案で実現したもの。「生徒主体でその是非や問題点を話し合い、自らルールを定めて運用していることが重要で、自分たちで決めたことに責任を持って、学校をつくっているという自負が生徒の誇りにもなっています」(及川校長)。「女子に自ら判断する力を与ふること」を目標に掲げ、創立当時の寄宿舎の行動規範を生徒に決めさせた創立者佐藤善治郎の理念は、現在も脈々と受け継がれている。

 こうした自主・自立心は、社会と関わる体験重視の総合学習・探究学習でも発揮される。今年6年目となる「マーシャルプロジェクト」もその一つ。中1の平和教育と英語の授業でマーシャル諸島の核実験の被害による「ビキニ事件」を学んだことをきっかけに、生徒たちが立ち上げた。現地の高校生とオンライン交流を続けながら、24年は互いの国で起きた核による被害内容をまとめたデジタルアーカイブを共同制作した。また、高1の国内フィールドワークで東日本大震災の被災地(宮城県・岩手県)を訪れた生徒たちは有志団体「チーム防災」を結成し、震災からの復興について学んだことを生かそうと防災啓発運動を行っている。「いずれも学年の枠を超えて多くの生徒が参加しています」と及川校長。 

「リーディング・
プログラム」が効果を

 また、東北大学の榊(さかき)浩平助教を学習アドバイザーに迎えてスタートした、独自の「リーディング・プログラム」も着実に成果を上げている。最新の脳科学の知見に基づき、ICT機器の利用を制御しながら読書習慣によって学力向上を目指す取り組みだ。24年度からプログラムの柱である「朝読書」の時間を10分から15分に拡大した。

「日々の読書時間が30分以上という生徒が約7割を超え、15分の『朝読書』効果で、一日の授業に落ち着いて取り組めるようになっています」と、及川校長は成果に言及する。「読書体験がより深い学びと豊かな人生の糧となることを願っています」。

生徒の有志団体「チーム防災」主導で、抜き打ちの避難訓練(年3回)を実施。校内避難経路の動画作成や避難計画立案も行っている
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