鎌倉女子大学中等部・高等部
高橋正尚部長(校長)

 鎌倉女子大学中等部・高等部は、2026年4月から共学校となり、校名が「鎌倉国際文理中学校・高等学校」となる。中学校では「国際教養コース」120人を募集、男女別の定員枠は設けず、英語資格入試も導入する予定だ。鎌倉女子大学中等部・高等部は23年に創立80周年を迎えた伝統校であり、21年に完成した新校舎の下、新たなスタートを切ることになる。高橋正尚校長は、「女子校の伝統を大切にしつつも、時代の要請に応じて、より多様な価値観を受け入れる学校を目指していきたい」と話す。

「ラウンド式英語」の導入で
つまずきを解消

 教育の柱となるのは英語教育だ。現在中等部では、週7時間以上の英語の授業を行い、教材は進学校で採用の多い『ニュートレジャー』を使用、授業ではAIによるスピーキング評価ツールやオンライン英会話を導入している。さらに“英語を学ぶ”体験を大切にし、例えば宇宙をテーマにしたイマージョン授業などを行っている。

 特徴的なのは、高橋校長が開発に携わった「ラウンド式英語」を導入していること。一般的な文法中心、知識偏重の学習ではなく、語彙や音声、リズムや場面理解などを通して、英語に親しみながら段階的に使える英語力を育てるもの。「文部科学省などの調査では、中2の夏ごろに英語を嫌いになる生徒が激増するという結果が出ています。この時期に英語につまずくと、以降の成績やモチベーションに深刻な影響が出てしまう。その前に、英語に慣れる、英語は楽しいと感じさせることが不可欠です。そのため、文法から入らない英語教育を実施しているのです」と高橋校長。

 大学入試では英検スコアが有利に活用されるため、現在英検を年3回、全員が校内で受験し、中学卒業時に準2級、高校卒業までに準1級取得を目標とする指導体制を敷いている。

 英語教育と並行して、理数教育にも力を入れている。鎌倉女子大学との高大連携で、化学や生物、データサイエンスなど、在校中から大学レベルの内容に触れられる機会をつくっている。生化学、医学系、IT系へ進学する生徒たちにとっては、有意義な機会となる。

 また、SDGsをテーマにした探究活動を実施、鎌倉のオーバーツーリズムを題材に、観光課の職員を招いて生徒がプレゼン発表を行うなど、社会課題に対して主体的に考える力も養っている。和室での“立居振舞講座”や芸術鑑賞、風呂敷の扱いなど、日本文化を学ぶ時間もある。自国文化を学ぶことが、国際理解への第一歩になると考えるからだ。「学力の指導と並んで重視しているのが“心の教育”です。“失敗を恥ずかしいと思わない”文化を醸成しています。26年度からの共学化を機に、より多様な個性を受け入れながら、堅実に生徒一人一人の未来を開いていく学校でありたいと考えています」(高橋校長)。

鎌倉国際文理中学校・高等学校の制服。現行の女子の制服との調和を図りながら、男子は洗練されたデザインが特徴のスタンドカラージャケットのスーツスタイル
●問い合わせ先
鎌倉女子大学中等部・高等部
〒247-8511 神奈川県鎌倉市岩瀬1420
TEL:0467-44-2113
URL:https://www.kamakura-u-j.ed.jp/