
舘山圭一広報企画部長
攻玉社にまつわる最新のトピックは、2026年度の特別選抜入試(26年2月5日実施)において、従来の算数1教科型に加え、国算2教科型の受験方式を加えたこと。前者は算数[共通]と算数[発展]として継続実施、後者は算数[共通]と国語で受験する。
「算数[共通]は標準的な内容で、算数[発展]は、これまでの特別選抜入試の算数Ⅱと同じ形式、同じレベルです。新設する国語は自分の力で文章を読み取り表現する記述式の出題を想定しています」と述べるのは、国語科教員を務める広報企画部長の舘山圭一教諭。サンプル問題を学校のホームページに掲載している。
「本校はこれまで、帰国生や算数1教科型の生徒を受け入れてきました。国算2教科型を加えることで、多様な生徒たちが集まりお互いを高め合う環境をより強化したいと考えています」と舘山教諭。
「他山の石以(もっ)て玉を攻(みが)くべし」が校名の由来。これには「他者から学び、自らを磨く」という意味が込められているが、受験方式の新設は、これを証左する取り組みともいえる。
一方、自らを磨くとは学力のみならず「人間性や知性を伸ばすことです」と舘山教諭は強調する。「そのためには、校訓である誠意・礼譲・質実剛健を、学校生活で繰り返し実践していくことが肝心です」。
誠意(まごころ・誠実さ)は自己管理力や信頼を得る力、礼譲(礼儀と謙虚さ)は協働性・多様性への理解、質実剛健(飾らず実直な努力)は困難に打ち克(か)つ意志と行動力を獲得するということ。これらの力を伸ばすため、学びの主体は生徒自身である必要があり、知識の詰め込みではなく、自ら問い、考え、探究することを重視。普段の授業では、対話・プレゼン・実験などを通じて多角的な思考力や表現力を育成する。
「中1・中2の自由研究、中3の卒業論文は生徒自身がテーマを決めて深く学ぶのが特徴です」と舘山教諭は語る。
放課後の特別講習は
全科目展開に内容を拡充
自発的な探究心・挑戦の土壌を育てる機会として、放課後に実施している「特別講習」(希望制)の拡大にも注目したい。これまでは国・数・英の3教科限定だったが、全科目展開へと拡充。費用は全て無料で、生徒たちの「学びたい」意欲を尊重するため、対象学年・生徒層にも柔軟性を持たせるようにした。
例えば、今春から始めた中2~高2が対象の生態学入門では、フィールドワークや実験などが多く、生徒たちの知的好奇心を刺激しつつ知識を増やし、仲間と一緒に学ぶことで協働性も養う。「より多くの生徒の学びを支援するのが狙い。校内完結型の学習環境の充実にもつながります」(舘山教諭)。多様な個が集い、互いに研さんを重ねながら、飾らぬ自分で勝負する「攻玉社男子」が育まれていく。
