佼成学園中学校・高等学校
青木謙介校長

 国公立大20人、早慶上理ICU49人、GMARCH145人、海外大26人と、2025年春の現役大学合格実績も上々だった佼成学園。毎年健闘が光ることから、合格実績ばかりにスポットが当たりがちだが、同校は学力向上だけを目指す学校ではない。前々から力を入れているのが探究活動だ。佼成学園では、生徒たちの課題を見つける力、解決する力を伸ばし、そこから将来につながるビジョンを描けるようにすることを重視。中1から高2まで毎年おのおのが課題を決め、調査・分析する探究プログラムを取り入れている。

「中1には課題の設定の仕方や情報の集め方、分析方法まで丁寧に教えるところから始めます」と話すのは青木謙介校長。優れた結果を出した生徒には、年度末の発表会で登壇の機会も。

「生徒や教員のほか、保護者、外部の有識者も招いた大人数の前で発表してもらいます。中1はまだ人前での発表に尻込みしてしまう子が多いですが、先輩の発表を見るなど経験を重ねるうちに変わっていきます。直近の発表会でも、人一倍シャイだった子が堂々と発表していて成長を感じました」(青木校長)

探究の“全国大会”では
複数部門で最優秀賞に

 校内で評価された研究は外部コンテストに応募するが、そこでも例年、好成績を上げている。

「25年2月に、高校生による課題研究・探究活動の“全国大会”と位置付けられる『高校生国際シンポジウム』が開催されました。人文科学・社会科学・物理学など幾つかの部門別に優秀な研究が表彰されるのですが、今回は本校の高2の4人が別々の部門でそれぞれ最優秀賞を獲得しました」(青木校長)

 また、JSEC(高校生・高専生科学技術チャレンジ)でも、昨年度の高3生が主催者賞を獲得。今年5月に米国で開催された大規模な国際大会のISEFにも日本代表として派遣された。

「彼の研究テーマは『イシガイ目二枚貝の保全と生育条件・生態に関する研究』。タナゴ釣りが好きで、その繁殖に必要なイシガイの減少を危惧し、生態を調べて保全する方法を探りました。没頭できるものを見つけた生徒の行動力、集中力には目を見張るものがあります。興味の赴くまま、ひたすら自走していきます。この生徒も放課後に延々と水槽を観察していたその姿が今でも忘れられません」と青木校長。

 また、多様な個性が共存し、どんな分野でも上り詰めた者を手放しでたたえる男子校ならではの環境も、生徒が興味をとことん突き詰めていく、探究心を支える原動力となっている。

 探究での学びを進路につなげる生徒も多い。高校のグローバルコースで行われるアントレプレナーシップ教育の影響もあり、同校は総合型選抜でも数多くの合格者を出す。中高で出合った問いを深め、社会に変革をもたらす担い手が、ここから続々と羽ばたいていくに違いない。

2025年の「高校生国際シンポジウム」で最優秀賞を複数部門で獲得したのは同校のみ。シンガポールで行われるアジア大会の推薦参加資格も得た
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