聖徳学園中学・高等学校
峯岸 渉校長

 聖徳学園中学・高等学校は、ICT教育の先進的実践校として国内外から高く評価されており、年間およそ40件にも及ぶ教育機関の視察を受け入れている。

 2015年に授業へのiPad導入をいち早く行った同校は、デジタルツールを駆使したデータ分析や動画制作など、視覚的かつ創造的な表現を重視する「STEAM教育」の先駆けとしても知られている。そのような取り組みの中で育まれる課題解決力や表現力は、総合型選抜をはじめとする大学進学実績にも如実に表れている。

 24年度からは、高校に「データサイエンスコース」を新設。AIやビッグデータを活用した探究学習を推進している。26年度には、中高一貫生の同コースへの内部進学制度も確立される。

 25年度、校長に就任した峯岸渉校長は、「本校は特段、最先端のICT教育を目指してきたわけではありません」と静かに語る。「聖徳学園の教育の本質は、生徒一人一人の『やりたいこと』を尊重し、その個性と可能性を見いだして伸ばすことにあります。教科の枠を超え、好奇心を刺激する多様な学びや体験を提供することが、私たちの使命であり、結果としてICT技術が付いてきました」と校長は続ける。

教員が外の世界と関わり
知見を学内に持ち込む

 同校では建学の精神である「和」の理念「知識をつなげる、人とつながる、世界とつながる」という三つの柱の下に教育を展開。まずは教員自らが外の世界と積極的に関わり、幅広い知見や人材、教育コンテンツを学内に取り込むことで、新たな学びの場を創造している。

 24年度から導入された新制服には、同校の中学3年生が海外研修で訪れるニュージーランドの牧場の羊毛が使用されている。生徒たちは現地で「自分たちの制服の原料」として牧場を見学し、品質管理や環境配慮、国際的な物流の仕組みについて、まさに「自分ごと」として学ぶ。このユニークな学びもまた、教員の幅広い関心と挑戦の精神から生まれたものである。

 こうした教員の探究心や柔軟な姿勢は、生徒たちにも確実に伝播(でんぱ)している。学校公式ウェブサイトの「お知らせ」欄をのぞけば、生徒有志による企業招待イベント「モーションキャプチャー体験会」や、個人で出場した「ライトニングトーク・コンペティション」での受賞など、生徒の自主的な活動が数多く紹介されている。その背景には、教員と生徒の心の距離が近く、何でも気軽に相談できる信頼関係がある。自らの気持ちを尊重されて育った生徒は、他者の目を気にせず自分の「やりたいこと」に素直になり、「どうすれば実現できるか」を教員と共に考えながら挑戦していく。「聖徳学園は、刺激と体験にあふれる場所。ここで、自分の進むべき道を見つけてほしい」と峯岸校長は力強く語る。

データサイエンスコースの在校生が「WiDS TOKYO@Otsuma Women’s University 第1回ライトニングトーク・コンペティション」で優秀賞を受賞した
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聖徳(しょうとく)学園中学・高等学校
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