
石原克哉入試広報部長
淑徳巣鴨は中高共に志願者数が漸増。中学は2025年度の募集から定員を増やして門戸を広げたが、25年2月の入試でも、日程や試験タイプによっては高倍率を記録した。
こうした人気が続く理由の一つは、好調な大学合格実績だ。25年春の大学入試では、国公立大に30人、医学部医学科・早慶上理ICUに82人、GMARCHに318人が合格した。実績は年々伸びているが、昨今の志願者のレベルアップで、今後さらなる伸びが予想される。
「本校ではコース別授業を取り入れて生徒の学力を引き上げ、放課後学習支援などのサポートにも尽力しています。結果として大学合格実績は伸びていますが、基本方針はあくまで“生徒ファースト”。生徒が本当に希望する道に進むのを応援していくことを大切にしています」
そう話すのは、入試広報部長の石原克哉教諭だ。
実際、生徒の多くは勉強だけでなく部活動などの課外活動にも全力投球している。文武両道をモットーとし、中高で思いっ切り部活に打ち込みたいという生徒の希望をかなえる学校でもある。
「私はサッカー部の顧問ですが、大抵の生徒は高3の秋まで部活に来ています。それでも、難関大に現役で受かる子が少なくない。本校では、たとえ全国で活躍する部活でも、競技のためにテストが免除されるようなことはないので、生徒たちは常日頃から頑張って勉強と部活を両立させています」(石原教諭)
当然ながら文武両道の道のりは険しい。
「だからこそ、それに挑戦して乗り越えた生徒は『自分はこんなにやれる』という自信を得ます。先輩が頑張る姿を見ている後輩たちも、両方挑戦するのがかっこいい、それが当たり前だと思っているところがありますね」(石原教諭)
生徒の気づきを促す
仕掛けをちりばめる
挑戦をいとわない生徒が育つ土壌は、淑徳巣鴨が実践する「気づきの教育」によってつくられている。探究型学びに力を入れるほか、実験を増やし、チームで協働して問題に取り組める理数教育などのカリキュラムを組み、生徒たちに気づきを促す仕掛けを随所にちりばめている。
同時に、教員が生徒たちを積極的に褒めて、自分の長所に気づかせる。褒める対象は勉強や部活動などでの目立った成果だけでなく、「毎日掃除を丁寧にやっていた」など、生活面でのちょっとした振る舞いも含まれる。人知れず積んだ努力やさりげない気遣いを、身近な大人がきちんと見て評価するという環境は、生徒たちの自己肯定感を向上させる。
「気づきの教育の下、生徒たちは主体的に思考する力や挑戦する力を身に付けます。社会に出たらすぐ活躍できるだろうなと思わせる、穏やかさの中にも芯の強さを持った生徒たちは、本校の自慢です」(石原教諭)
