
五島德之校長
淑徳中学校・淑徳高等学校の最大の特徴は、高校に「留学コース」があり、クラス全員が1年間の留学プログラムに参加すること。長年この留学制度に関わってきた五島德之・新校長は、「世界へ羽ばたく生徒を育てたいという思いから、30年以上前からこの取り組みを行ってきました」と話す。
留学先は米国や英国に始まり、今ではカナダ、オーストラリア、ニュージーランドにも提携校を広げている。高1の夏に出発し、翌年の夏に帰国する。ホームステイや寮生活を通して、英語力と自己管理能力を大きく育てる。生徒は5カ国40校以上の現地の学校から選択することができ、学校内では日本語に頼らず生活を送る。「1人で行くのは不安という声もありますが、逆にその方が語学力は伸びます。現地の授業にフルで参加し、生活の中で生きた英語を吸収する。生徒たちは、英語力だけでなく、自己表現や異文化理解の面で大きな変化を見せ、人間的にもたくましくなって帰国します」(五島校長)。
留学後は、探究学習「グローバル・リーダーシップ・プロジェクト(GLP)」を行う。この授業では、留学を通じて見つけた社会課題について、解決につながるようなアクションを学校内外で起こす。最終のプレゼンでは英語でのワークショップを行い、参加者自身に課題解決の意識を持つように働き掛ける。
「留学コース」の卒業生は国内の難関大学に進学する生徒が多く、海外大学に進学する生徒も増えている。
「淑徳の時間」で命の大切さや
思いやりの心を学ぶ
中学・高校とも個性や進路に合わせたコース編成を取っているが、難関大学を目指す生徒には、高校で校内予備校「淑徳アドバンス」という進学サポートがある。卒業生(大学生)によるマンツーマン指導と、外部講師による演習授業を組み合わせたもので、放課後や長期休暇中に受講できる。この仕組みは成果となって表れており、東大推薦合格者や国公立大合格者が毎年複数人出ている。近年は特に内進生の学力向上が著しいという。
淑徳の教育のもう一つの柱が「心の教育」だ。仏教精神を基盤とした「淑徳の時間」では、命の大切さや思いやりの心を学ぶ。教育理念である「三つのL(Life・Love・Liberty)」には、「自分の命と他人の命を大切にし、愛を持って、自由な心で進路を切り開いてほしい」という願いが込められている。目標は、社会にとって有為な人を育てることだ。
文化祭・体育祭では生徒が中心となって企画・運営を行うなど、生徒が主人公の文化が根付いている。部活動では、柔道部は3大会連続で五輪に出場した選手を出し、野球部も都大会でベスト4入りし、21世紀枠の候補に挙げられたこともある。
「部活動の垣根を越えて応援を行うなど、仲間意識が強いのも淑徳の生徒たちの特徴です」と、五島校長はほほ笑む。
