十文字中学・高等学校
横尾康治校長

 自立した、社会で活躍できる女性を育てる十文字中学・高等学校。中高を「進路探究の6年間」と位置付け、主体性を育む探究学習に重点を置く。

 近年特に力を入れるのは、海外の学生と共に取り組む探究学習だ。夏休みには高1~高3の希望者が2週間、台湾・實践(じっせん)大学のサマースクールに参加。アジアを中心としたさまざまな国・地域の学生と共に、教育や動物愛護などの社会課題について英語でディスカッションし、寮生活を送った。

 2025年度は、新たにワシントン大学とも協定を締結した。台湾でのサマースクールと同様、各国から集まった大学生や高校生と共に、課題解決に取り組むプログラムに参加する予定だ。ここには、英語を母国語とする学生が多く集まるため、より英語力も鍛えられる。世界の一流企業を訪問する機会もあるという。

 横尾康治校長は「国際化が進んでいく中で、価値観や考え方が異なる人と協力し合う経験をしてほしい」と期待を寄せる。

個別学習や探究発表で
自ら考え行動するように

 海外の学生との探究学習では、十文字の生徒がリーダーシップを発揮する場面が目立つという。「普段から自分でテーマを設定して考えを発信し、他の人とも対話するという探究学習に慣れているからだと思います」と横尾校長は語る。

 23年度からは、全校生徒が参加する「十文字探究DAY」を1月に開催。それぞれが考えた社会課題の解決策や、商品サービスの企画、関心あるテーマの研究などの成果が発表された。例えば、女性アスリート向けに考案したレシピ本の提案や、妊娠線をはじめとする「線状皮膚萎縮症」の研究など、多彩なテーマが取り扱われた。

 自ら考える主体性は、教科学習でも育まれる。数学では、独自の個別最適学習プログラム「J-PALM」を導入。授業で新しい内容を学んだ後は、各自で学習計画を立て、教科書や動画で勉強する。

「自分で計画を立てて主体的に勉強することで、自己調整学習力も基礎学力も身に付きます」と横尾校長。進路の幅も広がり、25年春の卒業生は米国、オーストラリア、韓国など海外の大学にも合格した。

 毎年、中3生全員と面談する横尾校長。「入学前は人前に出るのが苦手だったけれど、十文字の3年間で、自分で考えて積極的に行動できるようになった」という話を聞くことが多いという。

「主体的に行動できる人は、自分で目標を設定して努力します。そして目標を達成できれば喜びを感じられるでしょう。主体性を育むことは、生徒たちの幸せにつながるのです」と横尾校長は笑顔を見せる。

 自分らしさを素直に出し、互いを認め合える雰囲気があり、校内は明るい笑い声に満ちている。温かな雰囲気の中、生徒たちはこれからも自ら考え、行動する力を伸ばしていくだろう。

台湾の高校と十文字との合同キャラクターを考案。価値観や文化の違いを理解し合いながら、グループごとにデザインを考え発表した
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