
渋谷中学高等学校/幕張中学校・高等学校
田村哲夫学園長
現代の国際社会では、情報を受け取るだけでなく、それをどう解釈し、行動に移すかが問われている。渋谷教育学園は、創立以来そのような力を育む教育を実践してきた。
その根幹にあるのが「自調自考」という理念だ。これは、単に自分の好きなように行動することではない。「自ら調べ、自ら考えることを通して、自立した思考と行動力を身に付ける。その過程では、他者と協力しながら学ぶ姿勢も大切です」と語るのは、渋谷中学高等学校の高際伊都子校長だ。生徒が外部のコンテストや研究発表などで成果を上げる一方で、スポーツフェスティバルや文化祭といった学校行事にも変わらず力を注いでいるのは、「個人と集団のバランスこそ、社会に出てから求められる力」だと考えているからだ。
生徒が何かを学び取るのは、教室の中だけではない。同学園では、さまざまな場所に足を運び、実地で学ぶ機会を重視しており、修学旅行や校外研修が体系的に組み込まれている。
渋谷校の生徒は中学時代に鎌倉や信州、奈良を訪れ、歴史や産業、自然に触れる。
幕張校では中1で南房総を訪れ、地域の自然と産業に学び、中2では東日本大震災の被災地を巡る。
「震災も戦争も、今の中学生には遠い出来事になっています。だからこそ、実際の場所を訪れる体験が重要です」と話すのは、幕張中学校・高等学校の田村聡明(としあき)校長だ。
中国への修学旅行を再開
日本文化の源流を知る
2024年度には、コロナ禍で中止されていた中国への修学旅行(高2)も再開された(両校)。
生徒たちは万里の長城や故宮博物院、天安門広場を見学し、中国の高校生とも英語で意見を交わした。
「日本文化のルーツの一部が中国にあることを肌で感じ、自国を相対的に捉える力が育ちます」と田村校長は言う。これは、自分自身を知るために外の世界を知る──という同学園の教育方針にも通じている。
国際理解教育は中3から本格化する。渋谷校はオーストラリア、幕張校はニュージーランドでホームステイを経験し、高校では英国やシンガポールでの研修を通じて、多様な価値観や社会の在り方に触れる。24年度からは、両校合同のインドスタディーツアーも始まった。文化も宗教も異なる環境で、他国の生徒たちと課題解決に挑む。
「今は1対1の国際交流だけでなく、バックボーンの違う多くの国や地域の人々とやりとりをして、多様性への感度を高め、共生していく力が求められています」と高際校長は強調する。
学園が一貫して目指すのは、単なる進学校ではなく、人間力を備えた国際人の育成だ。学校の内外で活躍する生徒たちは、確かな学力とともに、他者と信頼関係を築く力、自らの考えを言葉にする力を身に付けている。

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