
実践女子学園 中学校高等学校
湯浅茂雄校長
学問や教養を実践的な能力に昇華させることが自立の礎となり、社会に貢献できる人材を育むという、創立以来の理念を受け継ぐ実践女子学園。
カリキュラムではじっくり基礎の定着を図る一方、「探究教育」に注力する。「未来デザイン」と題したオリジナル授業では、主にSDGsなどを取り上げ、生徒それぞれが興味を持ったテーマを探究。リサーチや発表の仕方も学び、知識を基に思考する力や、新たな価値を創造する力を身に付けていく。
2024年より学園全体の方針としてソーシャル・アントレプレナーシップ(社会問題を解消する起業家精神)教育を推進。世界規模で社会課題に立ち向かう意欲を持った人材を育てようと、従来から行ってきた探究教育の一環として新たな挑戦を始めている。
「校祖の下田歌子は、女子教育が必要ないとされていた時代に、近代女子教育の基盤を築いた先駆者であり、その理念はソーシャル・アントレプレナーシップ教育と非常に親和性が高いといえます。探究教育の成果として、すでに『社会をより良くしたい』という志を持った生徒も現れています」と語るのは湯浅茂雄校長だ。実際、23年度には米国で開催された高校模擬国連国際大会に、同校の生徒が日本代表団の一員として出場を果たすなど、ソーシャル・アントレプレナーの卵は着実に育ちつつある。
理系分野への進路拡大
医療系大学との連携も
社会課題に目を向けるなど、広い視野で物事を捉える力が身に付くのは、同校のグローバル教育や中高大連携の取り組みによるものが大きい。ネイティブ教員と共に行うレベル別授業をはじめ、イングリッシュキャンプに海外研修、短期留学と、多彩なプログラムが生徒たちを支えている。
中高大連携においては系列大学以外の、例えば理系や医療系などの大学との交流も活発だ。「進路のミスマッチを防ぐためにも、大学の学びや研究に早期に触れられる機会は非常に貴重です」と湯浅校長は語る。
さらに大学との連携は国内にとどまらず、24年には英国のケンブリッジ大学と協定を締結した。「ケンブリッジ大学とロンドン大学UCLで開催する日英の高校生対象のサマースクールプログラムに、本校生徒が優先的に参加できるようになります。ニュージーランドの国立マッセイ大学とも協定を結び、本校の推薦を得た生徒は、大学の学士プログラムに進学できる道が開かれました」(湯浅校長)。同校はUPAA(海外協定大学推薦制度)にも加盟しており、毎年複数の生徒が海外大学に進学している。
多方面で進化を続ける同校だが、登校時に湯浅校長自らが門に立って挨拶(あいさつ)し、生徒と談笑するという、温かな校風が今なお息づいている。生徒たちは穏やかな環境で伸び伸び学び、渋谷の地から世界へ羽ばたいていく。
