
市橋朋之本科推進部長
共学化し、3期目を迎えたサレジアン国際学園世田谷中学高等学校。本科の中2~高2は自然科学、人文社会科学、数理情報プログラミングの3領域・九つのゼミの中から選んで所属し、自分が興味のあるテーマを研究する。ゼミを決める過程では、生徒が明確にテーマを設定できるよう、教員がサポート。例えば、一口に「歴史を研究したい」と言っても、本当に興味がある事は歴史的建造物なのか、昔の絵画表現なのか、といった具合に、生徒が書いたゼミの志望書を読んで問いを投げ掛け、関心の対象を深掘りしていく。
「教員も相手が中高生だからといって手加減せず、研究者として向き合ってアドバイスしたり、足りないところを指摘したりします」と本科推進部長の市橋朋之教諭は言う。
ゼミで深めた興味・関心を
自分の軸に
同校のゼミは、大学より学際的なのも特徴だ。例えば「ホモ・スコラ」では言語、宗教、芸術、心理、歴史、文学といった幅広い分野を扱うため、他の生徒の研究内容や手法から新たな視点を得られることも。ゼミ同士で交流し、違うゼミの教員にアドバイスを求めることもある。
中2、中3は、こうして探究した内容を基に6月には学内での中間発表、10月の学園祭ではポスター発表を行う。「ゼミで深めた自分の興味・関心が、将来さまざまなキャリアの中で自分のよりどころとなる軸になってくれればうれしいです」と市橋教諭は期待する。
研究成果の発表の場は、学内だけにとどまらなくなっている。2024年度には、中高生が科学者とディスカッションする「つくばサイエンスエッジ」に中学生4組6人が出場。地域の気温と流行する音楽の関係性など、個性豊かなテーマで発表した。他にも、アボカドの食べ頃が分かるアプリを開発したいと、自分で大学の研究者を探して話を聞きにいった生徒もいる。
自分の研究テーマを深掘りし、発展させていく生徒がいることは、周囲への刺激にもなっている。ある生徒は、週末に一人一人が調べ学習に取り組む「週末課題」で、大好きな“シャーペン”について調べた内容が教員に「面白い」と評価され、校内に掲示されることに。すると、周りの生徒も「自分が調べた事も掲示してほしい」と教員に頼み、さまざまなテーマについて調べたノートのコピーが校内に張られるようになったという。成果を外の世界へと発信することで、確かな自信と実力を育んでいる生徒たち。
「本校にはキリスト教精神が息づいており、他者を認めながら貢献することを大切にしています。ですから生徒たちには、自分が発表する事はもちろん、他者の考えを聞くことでも周りに貢献してほしいと思っています」(市橋教諭)
生徒たちは、互いに刺激を与え合いながら、学校の枠を超えて大きく成長していく。

サレジアン国際学園世田谷中学高等学校
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