生徒の自主性を引き出すための面倒見

 続いては、高3担当の中島裕幸先生による学校生活の話題に移る。学校案内のパンフレットにもあるように、中高6年間を2年ごとの3期に分け、基礎学力養成期、進路決定期、実力完成期としている。

2020年はオンラインで実施された成城祭

 中1・中2の基礎学力養成期で徹底するのが授業第一主義により学習習慣の礎を築くことだ。成城は、先生と生徒の距離感を大切にしている。低学年のうちは成績の振るわない生徒に居残り補習をさせ、時には職員室に呼んで先生の近くで行わせる。これは小テストや課題提出の様子で判断される。定期考査の結果がふるわないと、指名制の補習も実施される。「自学自習」という自ら学ぶ姿勢に変わってくれることを期待して、である。

 中3から高1の進路決定期では早々にキャリア教育に取り組む。「未来の履歴書」として、実際に大学に提出するエントリーシートを書かせる。これが高1の夏休みの宿題であり、逆算して考えることで将来自分が何をやりたいのか、そのためのモチベーションを高める目的がある。

 実力完成期の高2からは大学受験が念頭に来る。高2では面談を行い、文理コース分けが行われるものの、いわゆる特進コースは設けず、選択科目を希望に合わせて、みんな楽しく文武両道の実践に励むというあたりが男子校である。希望者が参加可能な「エンパワーメント・プログラム」などのグローバル研修も設けられている。

 生徒へのバックアップは夏と冬の長期休業中に実施される「進学補習」でも発揮される。毎夏約150講座が開講されるというが、高1から選択で予備校並みの授業が無料で受けられる。進学を学校としても全面的にバックアップする体制だ。また、7時半から19時まで、卒業生のチューターを配置した自習室「自修館」という仕組みも用意されている。

 校則として挙げられたのは「携帯電話の校内持ち込み禁止」。電話ではなく、面と向かってお話をしましょうという趣旨のようである。クラブ活動の強制はない。45の部会があり、加入率は中学90%、高校75%とのこと。高2になると、約半数が塾や予備校に通っている。

 保護者からの質問「臨海学校は泳げないときついですか?」に対する答えは「浜で遊ぶのでもOKです」。このあたりは現代風なのかもしれない。