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長内 厚のエレキの深層

SMAP解散の必然性をハーバード流イノベーション理論で読み解く

長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]
【第14回】 2016年8月29日
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SMAP解散は避けられなかった?
技術的イノベーションの2つの概念

技術的なイノベーションは全て同じ性質のものではなく、時間経過と共に異なるイノベーションが発生するという理論がある。この理論からは、最近世間を騒がせたSMAP解散の必然性が見えてくる

 冒頭から私事で恐縮だが、国内外問わず多くの大学にはサバティカルという、教育や学務の負担が免除され研究に専念できる制度がある。筆者は本務校である早稲田大学でサバティカルを取得し、この夏からハーバード大学の学術大学院であるGraduate School of Arts and Sciences(大学院文理研究科)で客員研究員として在外研究に従事している。

 ハーバード大学のメインキャンパスであるハーバードヤードは、ボストン近郊のケンブリッジという町にある(いかにもニューイングランド)。ヤードからチャールズ川を挟んで南側にはハーバードビジネススクールがあるが、住所としてはここはボストンになる。なので、ハーバード大学出版の書籍には所在地がケンブリッジと書かれているが、ハーバードビジネススクール出版の書籍にはボストンと書かれているという違いがある。

 余談はさておき、ハーバードビジネススクールは技術経営研究の長い歴史がある。日本で現在活躍している多くの大学教授にも影響を与えたのが、故W・J・アバナシー教授だ。

 アバナシー教授は、技術的イノベーションの栄枯盛衰を製品イノベーションとプロセスイノベーションという2つの概念で説明している。図1は、横軸が時間、縦軸がイノベーション発生の頻度と捉えてほしい。

◆図1

出典:著者作成

 製品が開発され上市すると、市場での製品差異化競争が始まる。市場はその後成長し、熾烈な価格競争を経て成熟期を迎え、衰退につながる。このとき、技術的なイノベーションとは全て同じ性質のものではなく、時間経過と共に異なるイノベーションが発生すると考えたのが、アバナシー教授である。

 アバナシー教授によると、イノベーションはまず製品そのものの機能や仕様の変更を伴うような製品イノベーションが頻発し、それが一段落すると、市場ではある製品に対して一定の評価基準が定まり、ドミナントデザイン(支配的なデザイン)が決まるという。ドミナントデザインとは、これ以上製品イノベーションを望まない状態を指す。

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長内 厚 [早稲田大学商学学術院大学院経営管理研究科教授/早稲田大学台湾研究所研究員・同IT戦略研究所研究員/ハーバード大学GSAS客員研究員]

京都大学大学院修了・博士(経済学)。1997年ソニー株式会社入社後、映像関連機器部門で商品企画、技術企画、事業本部長付商品戦略担当、ソニーユニバーシティ研究生などを歴任。その後、神戸大学経済経営研究所准教授を経て2011年より早稲田大学ビジネススクール准教授。2016年より現職。早稲田大学IT戦略研究所研究員・早稲田大学台湾研究所研究員を兼務。組織学会評議員(広報委員会担当)、ハウス食品グループ本社株式会社中央研究所顧問、(財)交流協会貿易経済部日台ビジネスアライアンス委員。(長内研究室ホームページ:www.f.waseda.jp/osanaia/

 


長内 厚のエレキの深層

グローバル競争や異業種参入が激化するなか、従来の日本型モノづくりに限界が見え始めたエレキ産業は、今まさに岐路に立たされている。同じエレキ企業であっても、ビジネスモデルの違いによって、経営面で大きな明暗が分かれるケースも見られる。日本のエレキ産業は新たな時代を生き延び、再び世界の頂点を目指すことができるのか。電機業界分析の第一人者である著者が、毎回旬のテーマを解説しながら、独自の視点から「エレキの深層」に迫る。

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