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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

SMAP解散に見る、優良組織崩壊のきっかけ

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第56回】 2016年8月17日
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25年間も同一メンバーで存続をした
SMAPという組織の驚異

メンバー間の内紛や、マネージャーと事務所の確執など、解散の原因を探る記事がたくさん出ているが、そもそも25年間も同じメンバーで存続できたことは高く評価するべきだ

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 筆者は別のトピックで今回分の原稿を書いていたのだが、それを書きあげる直前に「SMAP解散」のニュースが入ってきた。今年に入ってから、メンバー間の確執や、関係者と事務所との間のトラブルの話など、すでに予兆はあったものの、ほぼ25年もの間、国民の誰もが知り、かつ高い好感度を誇るトップタレントとしてやってきたグループは他にないだろう。

 特に熱心なファンでもない筆者でも、解散は非常に残念に思うくらいだ。ファンならばなおさらだろう。実はSMAPについて書いてみたいトピックがあったので、急遽内容を変更して、この内容にした。

 現在のニュースやネット上での議論は、SMAPが「なぜ解散したのか」にほぼ集中している。解散後メンバーがどう活動するかの予測記事がぽつぽつとあるものの、多くの記事は解散に至る経緯での、元マネージャーと所属事務所とのトラブル、メンバー間の不和などを、憶測も含めて報じている。

 だが、SMAPを1つの組織と考えると、また違った見方が出てくる。メンバーの入れ替えが全くないまま(正確には森且行氏が1996年に脱退したが、入れ替えはない)、25年にわたり、存続できる組織というのは、家族を除けば、「例外的」といっていいだろう。

 2、3人の漫才やコントのトリオ、コンビは、「一緒でなければ芸にならない」という縛りがあるために長続きしやすいが、SMAPの場合はメンバー一人ひとりが個人でも看板を背負うことができるため、そういう縛りはきつくない。

 もちろん大企業などの大きな組織と比較するのには無理があるが、中小企業と比較しても、メンバーが変わらないまま、25年も優良組織として高い生産性を見せてきたSMAPは稀有な存在といえるだろう。

 したがって、組織論の観点からすると、なぜSMAPが解散したかよりも、なぜ25年も(しかも激動の芸能界の第一線で活躍し続けつつ)存続しえたのか、という問題のほうが、考察に値すると思っている。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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